ニットの毛玉はなぜできる?洋服ブラシで毛玉対策をしよう

秋冬に欠かせないニットは、デリケートなこともあり、洗濯などのお手入れに少しうるさいのが難点です。

中でも気になるのが、知らず知らずのうちに発生する「毛玉」です。

着る頻度が高いお気に入りのニットほど毛玉が発生してしまうため、定期的に洋服ブラシを使って毛玉対策をする必要があります。

この記事では、ニットに毛玉ができる原因や洋服ブラシを使ったニットの毛玉対策についてお話ししていきます。

着ているうちに増えるニットの毛玉!その原因は?

ニットを着ているといつの間にか増えている毛玉は、長く着用していく上では大変厄介ですよね。

定期的にブラシでお手入れをしたり、毛玉を除去したりする必要がありますが、なぜニットに毛玉ができるのかご存知でしょうか。

そもそも、ニットの毛玉は衣類の繊維から発生したもので、外からの汚れが毛玉となって現れているわけではありません。

ニットを繰り返し着用して洗濯していると、生地の繊維に摩擦が生じ、一本一本の先端が隣り合う繊維と絡み始める「毛羽立ち」が起こります。

この毛羽立ちは、次第に大きな塊をつくり、最終的には毛玉となって衣類の表面に現れます。

つまり、毛玉の正体は、もともとは服の一部であった繊維が絡み合ってできたもので、着用しているうちはどうしても発生してしまう必然的な現象と言えるでしょう。

毛玉ができやすい・できにくいニットの繊維は?

前項では、ニットに毛玉ができる理由についてお話ししてきましたが、なにも全てのニットに毛玉ができやすいわけではありません。

と言うのも、ひとくちにニットと言っても、生地の素材にはモノによって様々な種類の繊維が使われているからです。

では、毛玉ができやすい・できにくい繊維について以下で詳しく見ていきましょう。

【毛玉ができやすい繊維】

・アクリル

ウールに似せた化学繊維のアクリルは、強靭な繊維であるために絡まりやすく、さらに毛玉ができると除去しづらい厄介な特徴があります。

ただし、近年では品種改良されたアクリル毛糸が開発されており、毛玉のできにくいアクリルニットが登場しています。

・ウール、カシミヤ

天然繊維であるウールとカシミヤには、繊維を保護するためのうろこ状の表皮(スケール)、そして極めて微細な縮れ(クリンプ)が存在します。

このような特徴は、ニットとしての保温性を抜群に向上させる一方で、スケールの存在によりクリンプが巻き込まれることで、繊維同士が絡み合う毛玉をできやすくしてしまいます。

【毛玉ができにくい繊維】

・繊維が真っ直ぐな麻(リネン)、綿(コットン)、シルク
・クリンプが少ないモヘア、アルパカなど

以上のように、繊維の種類によって毛玉のできやすさは変わってきます。

ニットの素材を確認し、毛玉ができやすい素材であれば、ブラシなどで定期的なお手入れをすることが望まれます。

ニットの正しい毛玉対策!着用後は洋服ブラシでブラッシング

ニットに毛玉ができてしまった場合、私たちは毛玉取り機ブラシなどで毛玉を取り除きます。

しかし、毛玉ができる原因を考えると、毛玉を取り除くということは、結果的に生地をすり減らして衣類の寿命を縮めていることになります。

つまり、お気に入りのニットをより長持ちさせるためには、毛玉ができてからケアするのではなく、できるだけ毛玉ができる前からブラシでお手入れをすることが重要です。

ブラシを使ったニットの毛玉対策では、ブラッシングをするタイミングとして「着用後」が望ましいです。

と言うのも、前述したように、ニットは着用しているうちに繊維が潰れ、絡まってしまうからです。

この繊維の絡まりを放置し、ニットを着続けると、やがて絡まりは大きくなり毛玉が形成されます。

つまり、着用後に毎回ブラッシングをすることで、絡まった繊維が本来の流れに整い、毛玉になるのを未然に防ぐことができるのです。

また、着用後のブラッシングは、ニットに付着した1日の汚れや埃を取り除けるため、ニット特有の虫食い防止にも役立てることができます。

毛玉・虫食い対策ができるブラッシングは、ニットをより長持ちさせるためには欠かせないお手入れと言えますね。

洋服ブラシはどんな種類がおすすめ?ニットに適した馬毛

では、毛玉対策としてニットをブラッシングする際、どのような洋服ブラシを使ってお手入れするのが良いのでしょうか。

まず、洋服ブラシには化学繊維を使ったものもありますが、ニットのお手入れに適しているのは、化学繊維よりも生地を傷めづらい「100%天然獣毛」の洋服ブラシです。

中でも代表的な天然獣毛は、「馬毛」と「豚毛」です。

馬毛は、豚毛よりもやわらかく微細な毛質で、ニットの中でもデリケートなアンゴラやカシミヤなどのお手入れに向いています。

一方、豚毛は、馬毛よりもコシがある比較的ハードな毛質で、しっかりブラシをしたいジャケットや生地が硬めウール素材のコートに適しています。

馬毛は豚毛と比べると比較的高価ですが、ニットをより長く使っていく上では馬毛のほうがお得でしょう。

したがって、ニットをお手入れする洋服ブラシには、デリケートな繊維にも問題なく使える馬毛タイプを選ぶことがおすすめです。

これを機に、他の衣類も素材別にブラッシングをしたいという方は、馬毛と豚毛を1本ずつ手に入れるのも良いでしょう。

洋服ブラシのブラッシング手順!ニットの毛玉対策法

ニットの毛玉対策に適した洋服ブラシの種類を理解したところで、正しいブラッシング方法を詳しく見ていきましょう。

①着用したニットをアイロン台やテーブルなど平らな場所に置く

②繊維の流れと逆方向にブラッシングをする

最初から繊維の流れに沿ってブラッシングをしてしまうと、埃や汚れがかえって潜り込んでしまいます。

まずは、繊維の目に逆らって軽くブラッシングをして、付着した埃や汚れを払うように浮かせます。

③繊維の流れに沿ってブラッシングをする

ゴシゴシと擦るのではなく、軽快に払うように繊維をほぐしていきます。

以上の3ステップで、ニットのブラッシングを行います。

繊維を整えること、そして汚れや埃を取り除く目的であることを念頭に、着用後はやさしくお手入れするようにしてください。

また、洋服ブラシを保管する際も、ブラシを上向きに放置しないように注意し、クローゼットのフックにかけるなど埃を付着させないような心がけが大切です。

ニットの毛玉はどう処理すれば良いの?

前項では、毛玉対策としてのニットのブラッシング方法を見てきましたが、すでにニットに毛玉ができている場合は、どのような毛玉処理をするのが望ましいのでしょうか。

まず、一つ目におすすめの方法は、「毛玉取り機」を使うことです。

毛玉取り機では、電動のモーターによってカッターを回転させることで、ニットの頑固な毛玉を簡単に取り除くことができます。

毛玉がある部分に撫でるようにあてるだけなので、時短で素早く毛玉の処理を行えるメリットがあります。

パワフルな回転で毛玉を刈り取るだけでなく、カッターから生地を守る機能が搭載された商品も多いのでおすすめです。

また、次におすすめなのは、「毛玉取りブラシ」を使う方法です。

毛玉取りブラシは、洋服ブラシとは異なり、毛玉を取り除くことに特化した専用のブラシで、特殊加工された生地を傷めにくい猪毛が使用されています。

ニットをアイロン台やテーブルの上に広げ、ブラシに毛玉を引っ掛けるようにブラッシングをします。

カッターなどで生地を傷つける心配がありませんが、最初は毛玉を取る力加減が難しいかもしれません。

定期的に繰り返し行って、感覚を掴んでいきましょう。

また、毛玉を取り除く方法で注意したいのが、無理やり手でむしり取ることです。

見つけるとついむしり取ってしまいたくなりますが、強い力で頑固に毛玉を引っ張ってしまうと、生地を傷める原因になります。

毛玉処理はご紹介した上記の方法で行うようにしましょう。

毛玉をつくらせないお手入れを

ニットの毛玉対策は、着用後に定期的なブラッシングを行うことが大切です。

「毛玉ができてからケアすればいいや」と思う方もいるかもしれませんが、お気に入りのニットをより長持ちさせるためには、「毛玉をつくらせない」お手入れ方法が必要です。

もし毛玉ができてしまっても、無理やりむしり取るようなことはせずに、毛玉取り機などを使ってやさしく取り除くようにしましょう。