コートの裏地にはどんな生地が使われる?その種類や目的とは

コートやジャケット、スカートなどの衣服には裏地のついたものがありますよね。

裏地があることの目的やメリットなどについて考えてみたことは、あまりないのではないかと思います。

そこで、コートの裏地やそのほかの衣料で使われる裏地の生地についてや、その種類、メリットなどについて詳しく掘り下げていきます。

生活の知識としてぜひお役立てください。

衣料に使われる裏地の生地の種類にはどのようなものがある?

コートやジャケット、スカートやパンツといった衣料には、表に出る生地の内側に裏地が使われているものがありますね。

はじめに、この裏地に使われる繊維についてお話ししましょう。

表地や裏地などの生地を構成する基本である繊維には、大きく2つの繊維に分けられます。

それは天然繊維と化学繊維です。

天然繊維には、植物繊維・動物繊維などにさらに細かく分けられます。

天然繊維の代表的なものとしては、綿、麻、シルク、羊毛などがあります。

また、化学繊維は、再生繊維・合成繊維・半合成繊維などがあげられます。

化学繊維にはポリエステル、ナイロンといった合成繊維や、キュプラ、レーヨンといった再生繊維が知られているのではないでしょうか。

裏地に使われる生地といえば、以前はシルクなどがよく使われていましたが、近年ではポリエステルやキュプラが多く使われるようになってきています。

コートやジャケットにはどうして裏地が必要なのか

近年では裏地のないコートやジャケットも多く流通するようになってきています。

裏地を省略する理由としては、縫製の手間を省くためであったり、デザイン性を重視するためであったりということが考えられます。

しかし、生地に裏地がついていることで生まれるメリットは数多くあります。

1つ目に、裏地があることで着脱を楽にしてくれ、快適にする点があげられます。

裏地は基本的にすべすべとした肌触りのものが多く、着脱の際の動きを妨げません。

また、コートやジャケットなどの表地のごわついた肌触りから肌を保護し、痛みやかゆみといったトラブルを防いでくれます。

2つ目に、裏地があることで摩擦による衣服の型崩れを防いでくれる点です。

表地だけでは頼りない感じがしますが、裏地をつければしっかりと衣服のシルエットを保てます。

加えて、着脱することによる表地へ摩擦がなくなり負担も減りますので、より長く着続けることにもつながります。

3つ目に、静電気を発生しにくくしてくれる点です。

もしも、湿度が低い季節に着るコートやジャケットなどに裏地がない場合、静電気が発生しやすくなることが考えられます。

裏地があることで静電気を防ぎやすくしてくれる効果が期待できるのです。

4つ目に、内側からの汚れや蒸れを防いでくれる点です。

裏地がないと、内側から直接汗や汚れが表地についてしまい表地が黄ばむこともありますし、それにより表地への負担が大きくなります。

そのため、汚れや汗から表地を保護し型崩れしにくくしてくれるでしょう。

また、選ぶ裏地の生地によっては蒸れを抑える効果も期待できるものがあります。

コートに使われる裏地の生地は2つの繊維が主流

では、こちらではコートやジャケットといった衣類に使われている裏地には、どのような繊維の生地が使われているのかお話しします。

一般的に、コートやジャケットの裏地には、ポリエステルやキュプラといった素材のものが多く使われています。

手頃な価格のコートやジャケットには、ポリエステルの裏地が採用されている傾向があります。

そして、価格が高価なアウターになると、キュプラの裏地を使ったものがよく使われているようです。

この2つの生地は、一見それほど違いがあるように感じないかもしれません。

しかし、袖を通してみるとその違いが実感できます。

その違いは滑りのよさです。

キュプラはポリエステルよりもすべすべした肌触りで、袖通りもよい生地です。

また、ポリエステルは摩擦に弱く、裏地に採用されていると摩擦によって毛玉ができてしまうことがあります。
キュプラの裏地も摩擦には弱く、こすると毛羽立ちが目立つようになってしまいます。

ただ滑らかな生地なので、ポリエステルに比べると毛玉ができるなどということは少なく、身ごろの裏地はポリエステルでも、袖の部分だけキュプラを採用しているコートなどもあるようです。

衣類を選ぶときに、キュプラの裏地を使っているものは、表地も上質なものを使っている場合が多い、と覚えておくとよいかもしれませんね。

キュプラとはどのような生地

前項で取り上げた、上質なコートの裏地などに使われることの多いキュプラについて、もう少し掘り下げて見ていきましょう。

キュプラは一般名称として広く知られていますが、綿実から作った再生繊維です。

肌触りのよさはさることながら、吸湿性や通気性が高いのも特徴です。

化学繊維の機能性と、天然繊維が持つ長所も兼ね備えた、需要の高い繊維であることが分かります。

キュプラを生産するメーカーは世界的に見ても非常に少ないため、コストが高いといいます。

そのほか、絹に似た上品な光沢があり、しわになりにくく、紫外線による変色も少ないという特徴もあります。
ただ1つ、水に濡れると縮んでしまうという欠点があります。

しかしメリットの方が優れているため、裏地の生地として採用されることが多いのです。

さらにこのキュプラは、裏地だけに使われるものではなく、おしゃれなシャツやワンピース、スカートとして使われることもあり、意外にも衣服として活用される生地でもあります。

裏地に使われるポリエステルとは?

ポリエステルは化学繊維のなかでも、生産量と消費量がトップの繊維といいます。

強度に優れ、弾力性や形態安定性があり、しわになりにくい特徴があります。

そのため多くの既製服の繊維として幅広く使われています。

ポリエステルの裏地のよいところは何といっても安価であることでしょう。

そのため、多くのコートやジャケット、スカートやパンツといった衣類の裏地の生地として採用されています。

キュプラと比べると水洗いもできて、洗い方によっては自宅での洗濯も可能です。

裏地としての欠点をあげるとすれば、吸湿性が低く、静電気が発生しやすい点でしょう。

しかし、静電気については静電気を防いでくれる機能を持ったポリエステルもあります。

もしも裏地に採用するのであれば、そのような機能があるポリエステルなら不快度を減らせるかもしれませんね。

もしもコートを作るとしたらおすすめの裏地の生地は

コートを自作するとなると、なかなかの裁縫上級者かもしれません。

コートだけでなく、スカートに裏地をつけるといった作業でも大変なものです。

もしも、自分で裏地のある衣服を作るとしたら、やはり使う生地はキュプラがおすすめです。

キュプラを手に入れるのであれば、手芸店に行けば手に入れやすいでしょう。

そのほか、ネット通販で手に入れる方法もあります。

裏地を縫うためにはポイントがあります。

裏地に使う生地はたいていが薄いものであることがほとんどです。

そのため、使う針には注意しなければなりません。

まずは裏地を縫うときは細い針を使うようにしましょう。

また、縫い目を小さくすることで、細かいしわになるのを軽減できます。

次に、裏地は表地よりも大きくとり余裕を持たせるようにするとよいでしょう。

そのほか、裏地が滑って縫いにくいときは、洗濯用ののりを吹きかけると縫いやすくなるのでおすすめです。

ぜひ参考にしてください。

コートの裏地はキュプラがおすすめ!

コートやジャケットなどの衣類に使われる裏地の繊維や生地についてお伝えしてきました。

多くの衣類の裏地には、ポリエステルとキュプラが採用されているのが一般的です。

どちらかといえば、コートやジャケットには滑らかで袖通しのよいキュプラの裏地がおすすめといえます。

近年では裏地のない衣類も増えてきていますが、裏地があることで表地を守れ、そのほかにもメリットがあります。

できるだけ裏地があるものを選ぶのが望ましいといえるでしょう。