寒い冬がやってくるとアウターが活躍することになります。
アウターの中でも「最強のアウター」と称されるダウンは、その暖かさから一度袖を通すともう手離せなくなってしまうかもしれませんね。
そんなダウンを選ぶ際には様々な選定基準があるのですが、その内の一つにフィルパワーの比較があります。
今回はダウン選定時の基準となる「フィルパワーの比較」についてご紹介していきます。
フィルパワーの比較も大切な選定基準となるダウン!
今回はダウンの選定基準となる「フィルパワーの比較」を中心に、色々とご紹介していきます。
本題に入る前に、主役となるダウンのアウターについて少しお話をさせていただきますね。
ダウンコートやダウンジャケットは、中綿に羽毛(ダウンおよびフェザー)を使用したアウターになります。
一般的には、ナイロン素材の生地の中に中綿として羽毛を詰めて、キルティング加工を施して作られます。
羽毛は保温性に加えて、汗を放出する排水性にも優れているので、特に極寒の地では非常に重宝されました。
日本では1980年頃にアメリカからダウンのアウターが伝わって広まり始めます。
現在では、寒さに強い機能性はそのままにファッション性にも優れたものが多く、冬に欠かすことのできないお洒落アイテムとして活躍しています。
そんなダウンのアウターの品質を左右するのが、今回の主題でもある「フィルパワー」なのです。
「フィルパワー比較」のカギを握る「ダウンとフェザー」!
前項では、ダウンを使ったアウターについて簡単にご紹介しました。
続いては、アウターに詰められているダウンそのものについてお話をしていきますね。
ダウンのアウターの中綿には、羽毛である「ダウン」と「フェザー」が使われます。
これらのうち、主に使われる「ダウン」からダウンコートやジャケットのネーミングは来ているのです。
ダウンのアウターのタグには「中綿 ダウン〇〇%、フェザー〇〇%」と記載がありますので、既にご存知かもしれませんね。
ダウンやフェザーはどの鳥の羽毛なのかというと、水鳥であるグース(ガチョウや鴈)とダック(あひる)の羽毛が使われます。
そして、ダウンは水鳥の胸の部分にあたる羽毛で、フェザーは羽の部分にあたる羽毛になります。
ダウンの特徴は、非常に細かく、軽くてふんわりとした丸い形をしていることです。
中に空気を溜め込むことができるので、非常に暖かく保温性および防寒性に優れています。
一方、フェザーは羽軸のある羽です。
弾力性と通気性が高いのが特徴ですが、ダウンより保温性や柔軟性が劣ります。
ダウンにフェザーを混ぜて使うことで、ダウンには無い弾力性と通気性が得られ、上質な中綿に仕上がるのです。
そして完成したダウン製品の暖かさは、フィルパワーで比較することができます。
ダウン選定の基準「フィルパワーの比較」とは
前項から前々項にわたる説明で、ダウンについてご理解いただけたかと思います。
そこで、今回の主題となる「フィルパワーの比較」のお話に移らせていただきます。
ここで言うフィルパワーとは、ダウンの性能を評価するもので、この数値によってどれくらいの品質のダウンなのかを知ることができます。
【フィルパワー】
フィルパワーとは羽毛の重さ1オンスあたりの膨らみ具合を、立方インチで示すものです。
例えば「500FP(フィルパワー)」とあれば、1オンスのダウンが500立方インチの大きさに膨らむことをあらわしています。
この数値が大きい程、中綿が多くの空気を含んで保温効果が高くなり、軽量となることから、良質なダウンとされるのです。
フィルパワー数値での基準としては「500FP以下で低品質ダウン」「600FPから700FPで良質ダウン」「700FP以上で高品質ダウン」となります。
目安としては、600フィルパワー以上のものを選ぶと良いですね。
しかしながら、このフィルパワーは表示義務があるわけではありません。
メーカーサイドの意思に任されているのです。
もしダウン製品のタグにフィルパワーの数値が記載されていれば、ダウン製品を選ぶ基準として活用してみてください。
フィルパワーの比較だけではなく、混合率も注目!
さて、前項でダウンのアウターの選定基準となる「フィルパワーの比較」についてご紹介しました。
フィルパワーはダウン製品の品質選定に役立つのですが、それ以外にもダウン製品の選定時には確認していただきたい数値があります。
それが「ダウンとフェザーの混合率」です。
具体的には、前述した「ダウン○○%、フェザー○○%」というタグ表示です。
中綿に使われる羽毛には「ダウン」と「フェザー」があることも前述しましたが、この混合率もダウン製品の選定時には非常に重要な情報になります。
ダウンに少量のフェザーを混ぜることで柔軟性と通気性を補い、良質な中綿が作られていることは前述しました。
しかし、混合率においてフェザーの割合が高くなると、保温性が弱まってしまうのです。
一般的には「フェザー30%以下で上質」「フェザー10%以下で高品質」とされています。
前項の「フィルパワーの比較」と「ダウンとフェザーの混合率」を上手に見極めると、高品質のダウンを選ぶことができますね。
ただし注意点として、用途に対して高品質すぎるダウン製品を購入することはあまりおすすめしません。
雪山登山などのアウトドアであれば、保温性に優れた高品質のダウンアイテムを着るに越したことはありません。
しかし、普段使いの場合には、あまりにも高品質であると暑すぎてしまう場合もありますのでご注意ください。
フィルパワーの比較からみるおすすめのダウンブランド!
それでは、このフィルパワーの比較という観点からおすすめのダウンブランドをご紹介していきましょう。
【ナンガホワイトレーベル(NANGA WHITE LABEL)】
日本の極寒地、旭川ならではの知識と経験をダウンに組み入れた、最強のダウンを生み出すブランドと言ってもいいかもしれません。
何と言っても使われている羽毛は、世界最高水準の品質とされるポーランド産のマザーホワイトグースのもので、フィルパワー数値に至っては「860FP」という値になるのです。
この高級羽毛を通常のダウンの2倍程と贅沢に使い、それでいて高い技術力で可能な限りタイトなシルエットに仕上げているのです。
保温性はお墨付きですが、それ以外にも防水、防風、撥水、蒸気透湿性とダウンに欲しい要素は全て盛り込まれています。
街でも着られるスタイリッシュさにこの機能性という、まさに最強のダウンかもしれません。
【ザンター(ZANTER)】
もう一つ日本のブランドからご紹介しておきます。
こちらのザンターもぜひ注目しておいていただきたいブランドです。
ザンターは極寒地に向かう某テレビ番組に衣装協力をしているのですが、この時の女性スタッフがザンターのダウンを着用していたことは非常に有名です。
「900FPオーバー」という驚異の数値をはじき出す非常に使い勝手の良いダウンが、メンズ・レディースともに充実ラインナップされています。
やはり外せないダウンブランド!
前項では、フィルパワーの比較ができることからおすすめのブランドをご紹介しました。
しかし、前述のようにフィルパワーの数値は表示義務が無いので、ブランドによっては実際のフィルパワー数値を知ることができないものもあります。
ここでは、そのフィルパワー数値がわからないものの、これまでの実績から外せないブランドをご紹介します。
【モンクレール(MONCLER)】
モンクレールのダウン製品は有名で、業界で知らない人はいないのではないでしょうか。
それ程までにダウンではメジャーなブランドです。
50年以上の歴史を誇るモンクレールは、厳選されたホワイトグースの羽毛のみを使用しています。
審査が厳しいフランスの規格協会からもキャトルフロコンマークを取得するなど、お墨付きをもらっているのです。
残念ながら、ブランドサイドの意向でフィルパワー数値の公表はありませんが、そのようなものは不要というブランドの強気の姿勢かもしれません。
実際に、使っている人からはそれ以上の評価を得ているのも事実ですね。
ダウンを求めるなら、このモンクレールは外すことはできません。
【カナダグース(CANADA GOOSE)】
モンクレールと同様にダウンシーンで外すことができないのは「カナダグース」です。
カナダグースは、当初からシベリアやアラスカ、さらにはエベレスト登山家たちへダウンを提供してきました。
歴史的実績と優れた技術力を併せ持つブランドとも言えます。
その特徴は、防寒性はもちろんですが、優れた実用性にあります。
ニットカフ加工やフードに使うコヨーテファー、ポケットの多様化など優れた実用性は大きな特徴になります。
それでいて、美しいシルエットを併せ持つこともカナダグースが多くの人からの支持を受ける大きな理由だと言えます。
ダウン選びは確実にいきましょう!
今回はフィルパワーなど、ダウンを選ぶ際の基準となるものをご紹介しました。
ダウンは最強のアウターとされるだけあって、寒い冬には暖かく包み込んでくれる優秀なアイテムです。
ダウンウェアの使用用途や、フィルパワーの比較、中綿の混合割合などの要素を総合的に鑑みて、ベストなダウン選びを行いましょう。