ダウンジャケットの購入のときに気になるのは、中綿に含まれるダウンとフェザーの割合。
「フェザーが多めだと安くなるけど、ダウンは多いほど良いの?」と思ったことはないでしょうか。
実は、それぞれに優れたポイントが有り、目的に合わせてその割合で選ぶことが大切なのです。
今回は、ダウンとフェザーの違いとそれぞれの特性についてご説明します。
ダウンとフェザーはどちらも水鳥の羽毛
ダウンジャケットの中綿として使われる羽毛には、「ダウン」と「フェザー」があります。
ダウンは、水鳥の胸元に生えている放射状の細かい羽毛です。
これは水鳥特有の羽毛で、ニワトリなどの陸鳥にはありません。
一羽の水鳥から10~20gしか取れないため、高額になる傾向があります。
ダウンの中でもタンポポの綿毛のように丸くなっているものは、ダウンボールと呼ばれます。
ダウンボールが大きいほど多くの空気を内包できるため、良質なダウンと評価されます。
一方のフェザーは、私達が想像する羽の形をした、若干湾曲した羽軸からやわらかな羽枝が板状に広がったものです。
軸があることから、羽自体が弾力性を持っていることが特徴です。
柔らかくて温かいダウンが水鳥にとっての下着なら、フェザーは型崩れしない上着に相当します。
フェザーには更にラージフェザーとスモールフェザーという分類がされており、6.5センチ以下のものがスモールフェザー、それ以上のものをラージフェザーと呼んでいます。
弾力性を持たせるためにダウンと混合して使うには、比較的柔らかいスモールフェザーの方が適しています。
ダウンの中綿としての特性
ダウンの最大の特徴は、空気を内包することができるという点と、非常に軽いという点にあります。
ダウンは、フェザーには無い広がった羽毛同士が重なり合うことで、そこには空気の層が出来上がります。
ジャケットの中に空気の層を保持できるため、内側の暖かさ逃がさず、外側からの冷気の侵入を防ぐことができるため、保温性の高い素材となるのです。
ダウンによって、どれだけの空気の層が作られるのかが保温力の決め手となります。
ダウンの保温力は、同じ量の合成繊維の中綿に比べると3倍程度と言われています。
また、軸を持っていないことから薄く圧縮することでコンパクトにまとめることができることも特徴です。
そして、重量は合成繊維とは比較にならないほど軽いのです。
ダウン100%のジャケットや寝袋は、保温性に優れているだけでなく携帯性に優れたアイテムとも言えます。
さらに、合成繊維のようにもつれたり固まったりしないダウンは、繰り返し使用しても膨らみを失わず、品質の良い状態を長く維持することができます。
フェザーの中綿としての特性
フェザーは、羽軸から広がる羽枝の形状のために、保温性の面ではダウンよりも劣ります。
空気を内包する空間が作られないため、どうしても保温効果は下がってしまうのです。
しかしながら、フェザーにはダウンが持たない羽軸があります。
フワフワしたダウンは、それ自体が形状を持ちませんが、羽軸によって形が維持されるフェザーは、中綿に適度な弾力性と硬さを与えます。
この硬さがジャケットやコートの型崩れを防ぎ、弾力性がダウンの作った空気の層を潰さないように支え、通気性を確保します。
ダウンとフェザーの割合を調整することで、目的に有った使い方ができるようになるのです。
ダウンの量を増やせば暖かく、フェザーの量を増やせば型崩れしないものが出来上がるということになります。
どちらを優先させるのか、どの点をバランスポイントと考えるのかが、ダウンジャケットの選び方を考える上での一つの基準となってきます。
触っても確認できる中綿のフェザーの割合
ダウンジャケットを選ぶ際には、ダウンの産地やフェザーとの混合比は、記載されているもので確認することができます。
それを頼りに選ぶのも良いのでしょうが、できれば中綿を自分の手で触って確認することをお薦めします。
触ってみることで、そのジャケットの持つ保温性、弾力性、軽さだけでなく、フェザーの羽軸の硬さも確認することが可能です。
さらに、製造過程によって変わってくる、ダウン自体の臭いについても気付くことができます。
羽毛の弾力性は、ジャケットを押してみることで確認します。
テレビショッピングでも紹介されるように、ダウンの量が多いほど薄く潰れ、手を離すと素早く元の大きさに戻るのです。
フェザーが多いものは、押した手のひらに羽軸を感じることができ、押した手を離しても元の厚さまで復元しなかったりします。
廉価なジャケットでは、フェザーとしてラージフェザーをカットして使用しているものもありますが、それも手のひらに感じる羽軸の硬さで発見できます。
ダウンの割合が極端に低いものや、数字の割にふんわり感を感じない品質の低いダウンは、徐々にダウンとしての特性が失われて、ペッタリしたままになります。
流行の間だけ使うのであれば問題ありませんが、長年の付き合いを考えるのであれば、弾力があって素早く復元するものを探したいところです。
ダウンジャケットの選び方
軽くて温かいダウンジャケットですが、使われる場面によってその形状や性能で使い分けすることが望ましくなります。
まずは、ダウンジャケットの持つ、欠点のひとつをご紹介しましょう。
ダウンジャケットには、濡れることによって機能が低下するという欠点があります。
濡らさないために表面の素材や防水スプレーによって守るという手がありますが、その分、通気性を損う傾向が現れる側面をもちます。
表面の素材や加工に頼らず、中綿に合成繊維を使用して濡れに強いことを謳っているジャケットもありますが、ダウンやフェザーと比べると重く、かさばることを覚悟しなければなりません。
【タウンユースに向いたダウンジャケット】
タウンユースでは、屋外と屋内を行き来することを念頭に入れなければなりません。
温かいからといって厚手のものを着込んでしまうと、電車や建物の中ではいちいち脱がないと汗だくになってしまいます。
手荷物になるのが嫌なら、保温性にこだわらないというのも選択肢です。
スーツに合わせるなら、黒や茶などのアースカラーを基本とした、オーソドックスな色を選びましょう。
どんなスーツにも合わせられるのは、ジャケットタイプのダウンジャケットです。
少しカジュアルなコートの位置付けとして考えることができます。
キルティングタイプのダウンジャケットを使えば、ちょっと周りと違ったオシャレをすることができます。
寒い時期や外に立ち続けるような仕事には、ロング丈のダウンジャケットもあります。
ただし、あまりにも丈が長すぎると見た目に不自然なだけでなく、動きが制限されてしまうので、購入を検討されるのであれば必ず試着して動きを確認することをお薦めします。
【アウトドアユースに向いたダウンジャケット】
アウトドアユースでは、耐水性に注意しましょう。
天候があっという間に変化するのがアウトドアの特徴です。
どんなに出掛けるときに晴れていても、出先では突然の雨や雪に遭遇する可能性があります。
濡れてしまうとダウンは性能を発揮できなくなりますので、雨具を使わなくても水を吸わないジャケットを選びたいところです。
もしもの場合のために、防水スプレーを携帯しておくという手もあります。
ダウンジャケットの洗濯
ダウンジャケットの洗濯は、中綿のダウンとフェザーが繊細なため、基本的にはクリーニング店にお願いします。
しかし、タグに手洗いマークが付いていれば、自宅で洗濯することも可能です。
タライか大きめの洗面器にぬるま湯を入れて、適量のおしゃれ着用洗剤を溶かします。
型崩れを防ぐためにボタンやファスナーを締め、形を整えたダウンジャケットを畳んだ状態でお湯に浸します。
浸したダウンジャケットは、揉まずに優しく押し洗いしてください。
汚れが抜けたら、同じ要領ですすぎを行います。
畳んだままのダウンジャケットを押し洗いをして、水を変えながら水の色が変わらなくなるまで繰り返します。
水抜きにも脱水機は使わずに、ダウンジャケットを押しつぶすようにして絞り、仕上げはタオルドライです。
乾燥は、風通しの良い日陰で、できるだけ太いハンガーを使います。
水分が残っている間はダウンが重くなって型崩れしますので、半日毎には形を整えてやるようにしましょう。
ダウンジャケットの表面が乾いてきたら、中のダウンをほぐしておきます。
乾燥しきってしまうとほぐれなくなってしまうので、この作業は乾燥の途中で行わなければなりません。
ある程度乾いたダウンは、ダウンジャケットの表と裏から両手でポンポンと叩くと膨らみが復活してきます。
偏りを作らないように、全体に広げるように整えていきます。
何日も湿ったままだとダウンに生乾き臭が付いてしまいますので、乾きが遅いときには扇風機を当てます。
ドライヤーの熱はダウンの劣化を呼びますので、ドライヤーをかけるときは冷風にしましょう。
どうしても手間をかけていられないというときは、コインランドリーの乾燥機を低温設定で回してください。
ダウンジャケットは永い友達
暖かくて軽いダウンジャケットは、寒い冬を一緒に乗り切る頼もしい相棒ですが、扱いに失敗すると膨らみや柔らかさを失ってしまう気難しがりやでもあります。
だからといって、洗うことをためらっていては、汚れや臭いのせいで使いたくなくなってしまうことも。
お気に入りのダウンジャケットは、しっかりメンテナンスして、永いお付き合いをしましょう。