コートはなぜ生まれた?ルーツを知ることで着丈の目安になる

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コートの着丈で変わる印象

コートは、用途によって生地も着丈も変わってきます。

それぞれのコートには生まれた理由が存在し、その理由を叶えるためのデザインを持っています。

そして、そのバランスが美しく機能しているものだけが、ファッションアイテムとして残っています。

長さの目安も、その用途に逆らわないようにすると破綻しないことを覚えておくと便利です。

コートの種類だけでなく、着丈のショート丈、ミドル丈、ロング丈という分類でも、コーディネートが変わってきます。

スポーティなコーデにはショート丈のコートを合わせます。

フォーマルな場面には、ショート丈は似合いません。

レインコートの類は、基本的にロング丈になります。

そして、シルエットを決めるもう一つの要素に身幅があります。

身幅が絞られているものはドレッシーになり、そうでないものはルーズな印象を作ります。

ちなみに定番が続いているのはロング丈でルーズなコートです。

チェスターコートやステンカラーコートを選択すると、冒険による失敗がしにくいでしょう。

コートの着丈の目安を知っておく

コートの大きさを示す時、L、M、Sといったサイズ表記がされていますが、それだけでは長さは分かりません。

コートの長さは、着丈という表記で表されます。

着丈は襟の付け根から裾までの長さです。

同じ着丈のものでも、ウエストの絞り方やベルトの有り無しで裾の高さが変わってきます。

そのため、出来るだけ実際に着て合わせてみることをおすすめします。

しかし、ネットショップや取り寄せの場合には試着ができません。

着丈の他にも、コートを選ぶ際には、肩幅、袖丈、バストというサイズ表記があります。

現物で確かめられない時には、これらの数字で確認するしかありません。

しかしブランドによってサイズ表記の仕方に違いがあるため、予めショップなどで体に合わせてみて、何cmだったらどの高さになるのかといった目安を知っておくようにしましょう。

コートを選ぶ際、そのシルエットを決定付けるのは着丈ですが、機能性の上で最も大切になるのは肩幅です。

肩幅は、小さ過ぎると身動きが取れなくなりますし、大き過ぎると着崩れを招き「服に着られている」といった印象を生みます。

『洋服は肩で着る』といわれる程です。

まずは肩幅を合わせ、肩幅を合わせたコートの中から着丈を選択することになります。

コートの種類

コートの着丈は種類によって決まるわけではありませんが、それぞれの出自を知ることで、目安を付けやすくなります。

・ステンカラーコート

ステンカラーコートの特徴は、シンプルなデザインそのものです。

後ろが高く前が低く折り返す形の襟が、ステンカラーの大きな特徴です。

ステンカラーコートの他の特徴は、前合わせのボタンが隠れる比翼仕立てと、肩が首から繋がっているラグランスリーブです。

これらはどれも、スーツを包み込むレインコートとして優れたデザインになっています。

・トレンチコート

元はイギリス軍のミリタリーウェアとして開発されたもので、トレンチの意味は「塹壕」です。

デザインの特徴は、ショルダーストラップ、チンストラップ、ストラップカフスと、到るところに絞ったり引っ掛けたりするためのベルトが配されている点です。

このベルトは、ウエストを絞ることだけが目的のものではなく、装備をぶら下げるための役割を持っていました。

・チェスターコート

19世紀にチェスターフィールドが初めて着たとされるコートで、正式名はチェスターフィールドコートです。

ジャケットの着丈を長くしたようなデザインで、フォーマルなシルエットを作ります。

比翼仕立てのシングルブレストのものが正式ですが、オシャレ着としては、比翼を持たないものやダブルブレストのものを多く見かけます。

・ポロコート

ポロ競技のプレイヤーと、観戦者のために作られたのがポロコートです。

シルエットはトレンチコートに似ているのですが、ミリタリー要素を持たないため、結果的にチェスターコートに近い印象を持っています。

ダブルブレストによるドレス感と、袖のターンナップカフやバックベルトによるスポーティ感を併せ持ったコートです。

イギリス生まれのコートですが、それをポロコートという名前で広めたのはアメリカの紳士服ブランドです。

そのためか、ポロコートはアイビーリーガーが好みそうな発展を見せています。

・ダッフルコート

北欧の漁師が着ていたものをイギリス海軍が採用したコートです。

寒さよけのフードを持ち、軍服の上から着られるように身幅に余裕があり、ボタンは手袋のままで留め外しできるようにトグルになっています。

日本では学生の通学用アウターとしても馴染んでいます。

・Pコート

Pコートもイギリス海軍のミリタリーウェアで、ボタンには碇のマークが彫られています。

オランダ語で羅紗を意味する「pij」のコートということで名付けられた名称のようです。

大きな襟と、左右どちら向きにも留められるダブルブレストが特徴です。

艦上でも動きやすくするために、風にバタつく裾を持たないショート丈のコートで、カジュアルな印象があります。

・モッズコート

60年代のロンドンで生まれたモッズたちに愛された、米国地上軍の軍用パーカ(M-51)をベースにしたコートです。

形状の特徴としては、襟に縫い付けられているフード、フラップ付きの大型ハンドポケット、ショルダーストラップ、裾のフィッシュテール形状が挙げられます。

生地はオリーブグリーン色の薄手のコットンナイロンオックスフォード地で、これは初版のスペックから変わることがありません。

・ランチコート

ランチコートはアメリカ西部の大牧場で生まれた防寒用のコートで、ランチとは牧場を意味する英語です。

カウボーイたちが屋外での作業用として着ていたもので、毛が付いたままの羊の皮を裏返しにして作られていました。

日本ではサーファーの冬着として流行した時期があり、現在のものには裏地にボアなどを張ったりしてコストを抑えたものも多く出廻っています。

ショートコートの着丈の目安

ショート丈のコートは、雨に対する防水性よりも作業性を優先させたコートです。

ショート丈のコートの代表と言えば、ランチコートが思い浮かびます。

ランチコートは牧場での作業のために作られたコートで、動きやすさを最優先するために馬に乗っても動きが制約されないお尻までの長さが基本です。

労働者ではない人達の間にも広まったため、着丈にはバラツキがありますが、短めの方が腰が高く脚が長く見えることから、日本では短めのものが多く感じます。

それらの多くは、テーラードジャケットよりも更に短く仕立てられています。

ウェストの高さや裾のボアの取り回しによっても変わりますが、基本はお尻が半分出る程度、と考えれば良いと思います。

ジーンズのバックポケットに被ってはいるけども、楽に手を入れられる長さを目安にします。

ランチコートほど極端ではありませんが、Pコートやダッフルコートもショート丈が合うコートです。

これらのコートは、元々が海軍の艦上作業のために作られたものです。

オリジナルのバランスが完成されているためか、それほど大きくバランスを崩したものは流通していないようです。

標準体型の場合には、袖丈で合わせるのも良いでしょう。

着丈の目安は、お尻が隠れる程度でインナーの裾はがはみ出さない、を原則と考えると良いですよ。

ロングコートの着丈の目安

コートの着丈の基準はステンカラーコートで、これをミドル丈として長いか短いかに振り分けると言われています。

しかし、TPOやコーディネートによって、長さにはさまざまなバリエーションが存在します。

例えば、ビジネス用途には長さが必須です。

短いと若さを、長いと落ち着きを表現できると考えれば良いでしょう。

膝上くらいを目安にすると、上品に仕上がります。

Pコートやダッフルコートと出自は同じながら、トレンチコートやモッズコートは作業効率よりも防寒や防水が優先されています。

モッズコートはラフで活動的な印象を持つものの、その機能のため膝丈程度が目安です。

トレンチコートは、膝下まで伸ばせるロングコートです。

フォーマルなシルエットを持つチェスターコートは、生地がジャケットに近いためにショート丈でイメージされる事があります。

しかし、紳士的な装いに使うのが本来の姿、正式なものは膝丈か、それ以上が目安と考えてください。

ポロコートはチェスターコートに似ていますが、少しだけカジュアルになります。

軽快感を出すなら膝上でも良いと思いますが、だらしなくならないように気を付けてください。

コートの丈は長くなっている

コートの本来の役割は、防寒と雨からの防水にあります。

ショート丈のコートには、作業性を優先するという制約がありますが、この2つの役割を果たすためにはロング丈の方が都合が良いのです。

この2つの条件を満たしたコートは、ジャケットやスーツの上に重ねて着られるようにデザインされ、オーバーコートの呼称で広まりました。

一時期、ロング丈のコートは年配者が好む野暮ったいものとされて、ショートコートやハーフコートに主役の座を分け与えていました。

パンツは細くなり、近年まで身体を締め付けるようなタイトなファッションが歓迎されていました。

その流行りへの反発した流れに乗って、ゆるく長いコートが若い世代にも見直されてきています。

ロング丈のトレンチやチェスターコート、ポロコート等でコーディネートするのがオシャレになってきています。

ロングコートの着丈の目安は膝頭程度、そこから10cmくらいの上下の間に収めるのが常識的です。

ロングチェスターやロングモッズコートのように、本来のシルエットを無視して新しいシルエットを作り出しているものも多数市場に送り出されています。

ただし、細いパンツに合わせる時は長い着丈のコートは合いません。

ロング丈のコートを着る際には、スリムパンツやスキニーパンツは避けるようにしましょう。

コートは使い方を想定して選ぶ

アウターとしてコーディネートを包み込むのがコートです。

それだけに、インナーに合わせて重ねてしまいそうですが、時々それでは上手く行かず、一日中手に持ったままになったりします。

選択肢を沢山持っているのなら、その日の行動に合わせてコートを先に選んでみてください。

コートに合うようにインナーを、ボトムスをコーディネートしてみると、出かけるのが楽しくなるような仕上がりになりますよ。