ある時気が付くと、お気に入りのニットにデニムからの色移りがしてしまっていた。
このような経験はございませんか?
そのショックといったら筆舌に尽くしがたいほどに大きなものになります。
何故色移りがしてしまうのか?
予防法はないのか?
対処法は?
そうならない為にも、またなってしまった時の為にも、知っておきたいですよね。
今回は、これらの疑問にお答えいたします。
ニットなどにデニムの色移りがしてしまう原因
まず、何故ニットなどにデニムからの色移りが起きてしまうのかを考えていきます。
デニム生地は、インディゴ染料で染められた縦の糸と染められていない横の糸で作られています。
ダメージアレンジの際に、縦糸を抜いて白い横糸状態にすることからもそれらの構造は分かりやすいかもしれませんね。
この縦糸部分のインディゴ染料が、何らかの影響でニットなどへ色移りとして影響してしまうのです。
この何らかの影響というのが非常に大切で、それには2つの大きな理由が考えられるのです。
その原因とは次になります。
・洗濯などにより染料が脱色して、一緒に洗濯したものへ着色してしまう。
・着用時にデニムとニットなどが擦れることで摩擦が生じて着色してしまう。
これは、インディゴの染料と素材の特性から起こってしまうようです。
簡単に言ってしまうと、摩擦と水に弱い部分があるのです。
洗濯時は、色落ちにくわえ洗濯槽内での衣類のぶつかり、着用時の場合には単純な摩擦にくわえて、雨や汗などで濡れてしまうとより色移りが起こりやすいという悪い意味での相乗効果もあるようです。
これらがデニムからニットなどへの色移りが起こってしまう主な原因とお考えください。
ニットなどへの色移り!原因となるデニムに処置を施そう
前項でデニムからニットなどへ色移りする主な原因をご紹介いたしました。
洗濯と着用時の擦れがその主な理由でした。
これを理解いただいたところで、まずはこの原因となる行為をしなければ良いという考えが浮かびますね。
しかし、着用時の擦れを気にしていたら一日中息が詰まってしまいます。
そのうちお気に入りのデニムを着用することがストレスへと変わってしまいかねません。
そこに汗をかいたり雨が降ってきたりしたら、そのストレスは膨大なものになってしまいます。
また、洗濯も単純にデニムは別で洗おうと考えても、経済的でもありませんしデニム一本だけで洗濯機を回すなどというのは現実的ではありませんね。
では、どうすれば良いのでしょうか?
これを気にしなくて済むいくつかの方法があります。
原因となるデニムに色移りがしにくくなる処理を施すことです。
最初におことわりしておきますが、この処理はそうなりにくくするためであり、完全に防げるというものではありません。
あくまでも色移りしてしまう確率を下げるものとお考えください。
そうは言っても、この処置の有無できっと大きな違いはあると思われます。
ニットなどへ色移り防止!デニムへの色止め処理!
デニムからニットなどへの色移りを防止する術として、おすすめなのがデニムに色止め処理を施すことです。
何となく大掛かりで大変な作業のようにも感じますが、使うのは「塩とお酢」これだけです。
意外と簡単に施せますので是非試してみてください。
【塩とお酢を使ったデニムの色止め方法】
1 洗面器(無ければキッチンシンクでもOK)に50度程度のお湯2リットルを貯めます。
2 そこに塩とお酢各大さじ2杯を入れてよく混ぜます。
3 続いてそこにデニムを入れて1時間そのまま放置します。
この時に、デニムが完全に浸っていることに注意してください。
4 1時間経過したら、そのままデニムを軽く揉むようにして手洗いをします。
5 ある程度手洗いを行ったら、お湯を捨ててそのままデニムを水で濯ぎます。
6 濯ぎが終わったら今度はデニムをそのまま洗濯機で水洗い(一番優しいコース)をします。
この時は洗剤は使いません。
7 洗濯が終了したら乾かせば完了です。
これを施すだけでも随分と違います。
これはお酢の成分が洗濯でのインディゴに含まれる油分の分解を防いでくれることと、塩の成分が染料の定着を強めてくれることから効果が期待できるようですね。
もし興味があれば、是非一度お試しください。
着用時にデニムに防水スプレーを施すのもおすすめ
ニットなどへの色移り防止策として、前項でデニムの色止めを施す方法をご紹介いたしました。
これを施しておくことでデニムの色落ちがしにくくなるので、ニットなどへの色移りも少なくなります。
しかし、念には念を入れる意味も含めまして、デニム着用時にデニムに防水スプレーを施すのもおすすめです。
前述のように、デニムの色落ち・色移りは洗濯や擦れた摩擦が主な原因となります。
そしてそれを助長するのが、雨や汗など水に濡れてしまった場合になります。
濡れた状態になると、デニムを触っただけで手が青くなった経験もあるのではないでしょうか?
このように非常に色落ちと色移りがしやすい状態になってしまいます。
ここに普段使いのまま白ニットなどをトップスで着ていると、色移りの危険があります。
そうならない為にも、雨や汗などでもデニムが濡れることを防ぐこの防水スプレーは効果的です。
使い方はデニムの表裏両面にスプレーします。
これにより内側からの汗、外側からの雨両方に対応ができます。
また、色移り対象となるニット側にも防水スプレーでコーティングしておくのもより効果が期待できます。
洗濯時にも色移り防止の工夫を!
さて、ここまでにデニムに施す色移り防策をご紹介いたしました。
勿論、通常の洗濯時にもデニムによるニットなどへの色移り防止策を施す必要があります。
白のニットなど、特に色移りするものとデニムを一緒に洗うのは避けるべきですが、前述のようにそうも言っていられないこともあります。
ここでは、デニムとニットなどを一緒に洗濯する場合の注意点をご紹介いたします。
ただし、新品のデニムの場合には必ずデニム一つで洗ってください。
色移りする確率が非常に高いので、それを落とす苦労を考えたら、初めはデニム一つで洗うのも仕方ないことと割り切りましょう。
【洗濯時の留意点】
洗濯時にデニム表面がニットなどと擦れて色移りが起こってしまいます。
これを避けるためには、デニムは裏返しにして洗濯ネットに入れて洗濯しましょう。
また、色移りしやすいニットなども別の洗濯ネットにいれて洗うのもおすすめです。
デニムとニットなどの洗濯物が洗濯時に直接接触しないようにするのは効果的です。
また、濡れた状態で放置するのも危険ですので、洗濯が終わったらすぐに干して乾かしましょう。
【色移り防止シートを使う】
洗濯時に洗濯ものと一緒に洗濯機に入れるだけで色移りを防いでくれる優れものがあります。
それが「色移り防止シート」です。
これは、洗濯時に溶け出した色素をこのシートが吸い取ってくれるという優れものです。
・「カラーキャッチャー」(DYLON)
・「ランドリーケア 色移り防止シート」(ドクターベックマン)
などが有名ですね。
一度試されるのはいかがでしょうか。
ニットなどデニムから色移りしたものは「還元系」で対処!
これまでに、ニットなどにデニムの色移りが起こらないように予防策をご紹介してまいりました。
最後に、既に色移りしてしまった場合の対処法をご紹介いたします。
色移りが起こってしまった場合に、漂白剤を使われると思いますが、通常の漂白剤ではあまり効果がありません。
色移りが起こってしまった場合には通常の「塩素系」や「酸素系」のものではなく「還元系」というものを使います。
・「カラーランリムーバー」(DYLON)
こちらがおすすめです。
使い方も非常に簡単です。
1 500CCの熱湯でカラーランリムーバーを溶かし漂白液を作ります。
2 ニットの繊維表示に基づく最高温度(たいていの場合50度前後)のお湯を洗面器(キッチンシンクでもOK)に溜めます。
ニットがしっかり浸る量のお湯を溜めてください。
3 そのお湯に1で作った漂白液を入れてよく混ぜます。
4 そこに色移りしたニットを入れて1、2時間浸けておきます。
この時、様子をみて時々混ぜましょう。
5 最後に水で濯いだ後に、洗濯をすれば完成です。
また、熱いお湯でニットを洗うのも色移りした色を落とせる可能性もあります。
しかし、アクリル製品の場合には熱に弱いので注意が必要です。
こちらも洗面器やキッチンシンクに50度程度のお湯を溜め、そこで通常の3倍程度の濃度となる洗剤を使い優しく揉み洗いします。
こうすると、ニットの色移りを綺麗にすることができる場合もあります。
色柄ものの場合、色移りだけでなく元の色ごと抜ける恐れがあるため、注意しましょう。
ただし、自宅でできることにはある程度限界があります。
大切なニットの場合には、クリーニング専門店に持っていくことも考えましょう。
お気に入りのニットにデニム、色移りを気にせず快適に!
今回、ニットなどにデニムの色移りの予防策や対処法をご紹介いたしました。
デニムから色移りがしてしまうのは、ある程度仕方がないことのようですね。
これを気にしてしまうと、折角のお気に入りニットとデニムのコーデが楽しめません。
万が一の場合にも対処法があります。
事前の色移り予防策を施して、快適にニットとデニムのコーデを楽しみましょう。