ジーンズは洗濯の仕方を工夫すれば色落ち防止もできる!

ジーンズの醍醐味の一つに「色落ち」があります。

しかし、せっかく探し当てたお気に入りのジーンズの中には、手に入れた時の色合いを出来るだけ保ちたいものもあります。

だからといって洗わずに履き続けていると、皮脂や繁殖した細菌で、どんどん繊維の傷みが進みます。

そこで今回は、洗濯による色落ち防止の方法をご紹介しますので、お気に入りの一着を長持ちさせるために参考にしてみてください。

ジーンズから色落ちするのはインディゴ染料

新しいジーンズは染料が落ち着いておらず、手や湿らせたタオルで表面を擦っただけで色移りしてしまうものもあります。

特に水分を吸うと色落ちしやすくなり、色落ち防止の加工をしなければ、暫くの間は洗濯のたびに水が青くなります。

簡易的に防水スプレーで水分を弾くという手もありますが、これは根本解決ではありません。

最も一般的な藍色のジーンズには、インディゴ染料が使われています。

このインディゴ染料というのは、本来は染料ではなく顔料です。

顔料は染料と違い糸の表面に付着した状態でしかなく、中まで色が浸透していません。

顔料であるインディゴをロープ染色によって糸の表面に塗布して作られた糸を使うため、ジーンズは表面がこすれて芯の白が出てるのも味になります。

糸そのものに色が付いている訳ではなく、表面に塗られているだけのインディゴ染料ですから、擦っただけで落ちやすいというのもうなずけます。

インディゴ染料が洗濯によって色落ちしやすいのには、もう一つ理由があります。

インディゴ染料は油分を多く含んでいるのです。

それに対して、洗濯用洗剤の基本は油汚れを落とすこと。

インディゴ染料は、洗濯用洗剤との相性も、良くないということです。

落ちやすいインディゴ染料の色落ちを防ぎたいのなら、色落ち防止の加工が必要になります。

洗濯での色落ち防止には酢と塩で

洗濯用洗剤の油汚れを落とす成分のほとんどは、アルカリ性です。

ジーンズをそのまま洗うと、油汚れと一緒にインディゴ染料も落ちてしまいます。

そこで、油汚れを落とす成分を中和させると、色落ち防止ができるということになります。

アルカリ性の中和には、酢が効果的です。

酸性の酢は、洗濯用洗剤のアルカリ成分を中和し、油分を含むインディゴ染料が洗い落とされるのを防ぎます。

さらに、酢は繊維を柔らかくして洗い上がりをふっくらさせてくれますし、消臭効果にも期待ができます。

ここでもう一つ、繊維と染料の結びつきを強くして、さらに効果を上げる方法をご紹介します。

繊維と染料の結びつきを強めるものは、塩です。

塩の主成分である塩化ナトリウムは、繊維と染料の結びつきを強めてくれる働きをします。

さらに、微量に含まれるマグネシウムやカルシウムが、反応の仲介をして、結合を安定させてくれます。

色落ち防止のための洗濯

酢と塩が、ジーンズの洗濯から色落ち防止をしてくれることがわかりました。

では、実際に酢と塩を使った洗濯の仕方をご紹介しましょう。

最初にするのは、洗面器を使ったつけ置き洗いです。

ジーンズは裏返して、トップボタン、ジッパーやボタンフライは閉じておきましょう。

使う酢と塩の量は、どちらもお湯1リットルにつき大さじ1杯です。

洗面器を使う場合には、およそ2リットル、大さじ2杯ずつが目安になります。

洗面器に50℃程度の熱めのお湯を入れ、その中に用意した酢と塩を入れます。

小さじ1杯程度の液体洗剤を入れて、よくかき混ぜます。

裏返したジーンズを畳んでお湯の中にしっかり浸します。

そのまま、浮いてこないように気を付けながら、1時間くらい浸けておきます。

時間が経ったら浸けていたお湯は捨てて、新しい水と取り替えて、軽くすすぎます。

つけ置き洗いが終わったら、今度は洗濯機を使ってすすぎ直します。

ジーンズは裏返したままで、洗濯用ネットに入れて洗濯機に入れます。

「すすぎ」だけが指定できる洗濯機は「すすぎ」だけで、指定できない場合には「お急ぎコース」など、短時間で洗えるコースを選びます。

色落ち防止の効果が出るのは乾燥した後です。

乾く前の段階で擦ると色落ちしますので、お気をつけください。

洗濯したジーンズは陰干しで

ジーンズの色落ち防止加工の最終工程は、乾燥です。

洗濯の後にジーンズを干す際のポイントは、2つです。

1つ目は、風通しの良い日陰で干すこと。

日光も変色の原因になりますので、太陽を避け、乾燥には風通しの力を使います。

2つ目は、ピンチハンガー等を使って、裾を開いて吊るすこと。

物干し竿やロープにかけてしまうと、布地の重なった部分が乾きにくいばかりか、折返しのクセが付いたり型崩れの原因にもなります。

十分な高さを取れる時には、ウェスト側を下にし、すそを筒状にしてまっすぐ吊るすと皺が付かずキレイに干し上がります。

高さが取れない時は、ピンチハンガーの裾とは逆側にウェスト側を吊るし、ゆったり開いた状態で吊るします。

縫い代やポケットの乾きを良くするために、裏返したまま吊るすのが望ましいです。

乾燥した後の皺の入りが気になる場合は、ポケットが乾くのを待って、表に直して干しても良いでしょう。

完全に乾いたことを確認したら、スチームアイロンで臭いを飛ばしておきます。

ジーンズを乾燥させるときには、乾燥機も避けるようにしましょう。

ジーンズの素材の「綿」は、乾燥機で縮みやすい素材です。

ジーンズからの色移りの対処法

色落ち防止の加工方法をご紹介してきましたが、色落ちしやすいということは色移りもしやすいということです。

色移りしてしまった時の対処方法についても、簡単にご紹介しておきます。

洗濯機に一緒に入れてしまい、衣類に色移りしてしまうといった失敗は、よくあります。

その時、最初にしなければならないのはタグに書かれた注意書きを確認することです。

繊維の素材や染色の仕方によって扱い方が変わりますので、その許容範囲で対処することが肝心です。

次に気をつけなければならないのは、出来るだけ早く対処すること。

色移りしてすぐは、色が定着していないので簡単に落とせますが、そのまま放置すると洗っても落ちなくなります。

効果的な対処は、熱めのお湯と色移りしたときと同じ洗剤を使うこと。

熱めのお湯は、繊維を柔らかくし、色が浮きやすくなります。

ジーンズの色落ちを引き起こした洗剤を濃い目にして洗ってみましょう。

衣類の色が白ならば、花王のハイドロハイターなどを使って一気に漂白してしまうこともできます。

色落ち防止をせずに「こなれ」を楽しむ

ここまで、ジーンズからの色落ちを防いで手に入れた時の風合いを維持する方法をご紹介してきましたが、ジーンズは自分なりの「こなれ」を楽しむものでもあります。

色落ち防止の加工をせず、「こなれ」を積極的に楽しむために、ジーンズ特有の色落ちの仕方を知っておきましょう。

●アタリ

ジーンズの外側の縫い目に沿ってできる、縦の線が「アタリ」です。

これは、ジーンズの裏側に有る縫い代によって出来た段差部分の糸が擦れて出てきた線です。

縫い代が折れているものをそのまま履き続けていると、そのまま曲がった線が「アタリ」として出てきてしまいます。

手に入れた時点で確認して、折れていたらアイロンなどで開いておくのが良いでしょう。

●ヒゲ(下りヒゲ)

股の周囲に猫の「ヒゲ」のように放射線状に発生する色落ちのことです。

歩いたり座ったりすることによって出来る皺がクセになり、皺の山側が白い線になって出てきます。

しゃがんだ時に出来る皺を、欲しい形に整えてクセ付けすることで、自分だけのヒゲを作ることができます。

●ハチノス(蜘蛛の巣)

ヒゲと同じ原理で出来る折り線ですが、「ハチノス」は膝の裏にできるものを指します。

ヒゲのように単調でなく、その名の通り蜂の巣や蜘蛛の巣のように格子を伴う折れ方が特徴的です。

この皺は、歩いたり座ったりの動作で付いてしまう皺なので、コントロールは難しいところです。

●縦落ち

ジーンズの生地のデニムには、インディゴで染めた糸は縦糸にしか使われていません。

「縦落ち」は、この縦糸の表面が擦れて芯の白地が出てきた縦の線で、洗濯を繰り返すだけでも出てきてしまいます。

糸の太さの不揃いや洗濯による縮みの差は、糸ごとに白い線の出方が変わって風合いになります。

色の落ち方は「ヒゲ」や「ハチノス」のようにくっきりした線状ではなく、自然なグラデーションになるのが特徴です。

特に生地の張る太もも部分の出方が強いことから、ダメージ加工も太もも部分を中心に行われます。

色落ちしないジーンズで変わらぬオシャレを!

「こなれ」による色落ちで出来る風合いを楽しむジーンズですが、色落ちを許していると印象が変わって行くのが難点でもあります。

他のアイテムとコーディネートしていた筈が、ジーンズだけ印象が変わって合わなくなっては、悲しいものです。

手に入れた時だけでなく、お気に入りの色落ち状態の時に色落ち防止の加工をするのも、変わらぬオシャレのテクニックです。