ジーンズをこよなく愛する方からすると、色落ちや風合いを楽しむために洗濯をしないという方も多いですよね。
しかし、ジーンズを購入してから一度も洗ったことがないと、保存状態によってはジーンズにカビがはえてしまうこともあります。
お気に入りのジーンズにカビが生えてしまっては、ファッションを楽しむことができません。
もしもカビがはえてしまった場合、どのような落とし方があるのでしょうか。
現代のジーンズに抗菌効果はない?!
作業ズボンとして耐久性のあるジーンズは、金の鉱山労働者向けに作られたのがはじまりとされています。
ジーンズといえば青色ですが、この青色は害虫避けのアイデアによるものです。
鉱山の労働環境というと、多くの害虫や蛇による被害が絶えませんでした。
そこで、害虫避けにならないかと藍を採用したのです。
藍にはトリプタンスリンという抗菌成分が含まれているため、ジーンズを保管しているときの虫食いや防臭・抗菌効果に優れています。
こういった要因から、ジーンズは抗菌効果があるとして、洗濯しなくても大丈夫といった認識がされているのかもしれません。
しかし、現代では合成インディゴのため、害虫避けや抗菌効果はないとされています。
そのため、きちんとお手入れをしていないと、ジーンズがカビだらけになっていたなんてこともあり得るのです。
カビが生えてしまうと、ジーンズに付着した汚れなどを餌にしてどんどん繁殖してしまいますので、カビを落としていきましょう。
次項からは、ジーンズについたカビの種類とカビの落とし方について解説していきます。
ジーンズについた白カビの落とし方
デニム生地に生えやすいカビの種類は、白カビや黒カビです。
白カビは、フワフワとしたホコリのような見た目で、普段は空気中に漂っています。
繁殖できそうなところが見つかれば、あっという間に増えてしまうカビです。
そのまま放置していると、アレルギーを引き起こす可能性も出てきますので、見つけたらすぐに対処しましょう。
それでは、ジーンズについた白カビの落とし方をお伝えします。
【準備するもの】
・新聞紙
・歯ブラシ
・マスク
・メガネ
・濡れタオル
①ジーンズについた白カビは、まず天気がいい日に干して、よく乾燥させます。
②カビを落とすとき、室内だと舞い上がってしまうので屋外に出ましょう。
新聞紙などを広げ、乾燥させたジーンズを新聞紙の上に置き、硬めの歯ブラシを使って白カビをサッと払います。
払うときは、マスクやメガネをして行うのがベストです。
白カビを払ったら軽くこすったり、カビを掻き出すようにクルクルと歯ブラシを動かしてみてくださいね。
ときどきジーンズを手で叩き、表面に浮いてきたカビを払いましょう。
③カビが生えている範囲が広くない場合は、水を含ませて固く絞ったタオルで拭き取ります。
④仕上げに、天日干しすれば完了です。
中性洗剤を使ったカビの落とし方もあり!
前項の落とし方で取りきれない白カビは、水で薄めた中性洗剤を布やタオルに含ませて、白カビの生えている部分を拭いていきます。
中性洗剤は、食器用の洗剤を使うのがおすすめです。
もちろん、衣類用の中性洗剤でも構いません。
水拭きする際は、ゴシゴシ擦らないようにしましょう。
強い力で擦ってしまうとカビの胞子が繊維に入り込んでしまいます。
布やタオルを押し当てるようにしてみたり、トントンと小刻みに叩くなどしてみてください。
その後、水を含ませて固く絞った布で拭き、中性洗剤を落としていきましょう。
洗濯することに躊躇がない方は、桶に張った水で手洗いをしたり、洗濯機で洗うなどしてすすいでいきます。
ただし、洗濯機で洗う場合はジーンズを裏返して洗いましょう。
脱水にかけるときは、一番弱に設定して1分ほどで止めます。
脱水に時間をかけてしまうと、ジーンズが縮んでしまうからです。
ジーンズに現れた黒カビは落としにくい
続いては、黒カビの落とし方です。
黒カビは、黒いポツポツとした見た目で、染みのようにどんどん広がっていきます。
白カビは胞子の根が浅いので比較的落としやすいのですが、デニムの繊維の中に根を張る黒カビはなかなか落としにくいといった特徴があります。
しっかり根を張った黒カビですから、たとえ洗濯機で洗ったとしても落ちません。
頑固なカビに有効な、浸け置きで対処していきましょう。
浸け置きには漂白剤を使います。
しかし、デニム生地は色落ちしてしまうことをふまえて、漂白剤を使うときは衣類に使える酸素系の漂白剤をお使いください。
浸け置きでの落とし方は、洗面器に水と規定量の酸素系漂白剤を入れて溶かします。
そこにジーンズを浸して、漂白剤の表示どおりに浸け置きしましょう。
履きはじめたばかりのジーンズや、はじめて洗うジーンズだと洗面器の水の色が青く染まりますが、多くの場合は見た目に問題はありません。
ただし、ヴィンテージもののジーンズや、風合いを楽しみたい方の場合、浸け置きは避けたほうが無難でしょう。
シミ抜きが上手なクリーニング店にカビを落としてもらおう
漂白剤で浸け置きする方法をお伝えしましたが、黒カビが落ちないからといって、塩素系の漂白剤やエタノールを使うのは止めましょう。
塩素系の漂白剤やエタノールを使った落とし方は、ジーンズの色落ちを促進してしまいます。
とくに塩素系漂白剤は、ジーンズがブリーチのように色抜けしてしまうので、間違わないように注意してください。
また、ヴィンテージジーンズやご自身でカビの処理をする自信がない場合は、プロにお願いしましょう。
クリーニング店であれば、カビ取りはもちろんのこと、消臭なども施してくれるサービスがあります。
カビを落としてもらう際には、シミ抜きの技術のあるお店がおすすめです。
シミもカビも、繊維に入り込んでしまったものなので、細かく作業をしてくれる方にお願いしましょう。
ただしクリーニング店の場合、ほとんどのものを乾燥機にかけるので、ジーンズが縮んでしまうリスクがあります。
ジーンズをクリーニング店に出すときは、確認してみてください。
落とし方が分かったらカビが生えない消毒方法をマスター
ジーンズのカビの落とし方をマスターしたら、今度はカビが生えてこないように対策をしていきましょう。
●熱湯での方法
①洗面器に、60度くらいの熱湯を張ります。
60度を超えると、デニム生地が傷んでしまうので注意しましょう。
②①にジーンズを浸して、10分間置きます。
10分以上放置してしまうと色落ちしたり、生地が伸びたり縮んだりしてしまうので、タイマーをセットしておくといいかもしれません。
③洗濯機に入れて、1分ほど脱水したら干しましょう。
●アイロンでの方法
①ジーンズを裏返します。
②ジーンズの上に当て布をして、アイロンを掛けていきましょう。
シワを伸ばすというよりは、カビが生えにくくするのが目的なので、しっかりと当てる必要はありません。
アイロンを滑らすように動かしてみてください。
ただし、カビが生えていた部分は、念入りにアイロン掛けしましょう。
アイロン掛けを避けたいジーンズの場合は、スチーム機能を使います。
ジーンズから少し浮かせて、スチームを当ててください。
清潔にしてカビからジーンズを守ろう!
ジャブジャブと洗えないジーンズにカビが生えてしまったら、丁寧に取り除いていきましょう。
カビが繁殖しないためにも、汚れたらサッと拭き取ったり、カビが生えている部分があったら広がらないうちに対処してください。
ジーンズを清潔に保つほか、カビが好むような場所に保管しないなど日頃から気を付けて、お気に入りのジーンズをカビから守りましょう。