近年、メンズのファッション雑誌などでよく見かける「トラッドスタイル」は、上品でありながらカジュアルな着こなしコーデもできる大人のファッションです。
そんな紳士的なトラッドスタイルを目指すうえで、足元を引き締める「靴」は誰もがこだわりたいアイテムではないでしょうか。
そこでこの記事では、メンズのトラッドスタイルに合った靴選びや着こなし方について詳しくご紹介していきます。
メンズが憧れるトラッドスタイルとは?
トラッドスタイルを構築するうえでは、頭から足の先までこだわり抜いた全身コーデを目指す方も多いのではないでしょうか。
特に足元の靴は、全身の印象を大きく左右させることから、全身のトラッドスタイルをまとめ上げる重要なポイントと言ってもいいでしょう。
そのため、トラッドスタイルに合った靴の選び方は悩みどころの一つでもあります。
そんな靴選びについて考えていく前に、そもそもトラッドスタイルとはどんなものなのかおさらいしていきましょう。
まず、トラッド(trad)とは、traditional(トラディショナル)の略称で、トラッドスタイルを直訳すると「伝統的なスタイル・服装」という意味になります。
言い換えると、時代に流されない普遍的なファッションを指しますが、もとはダンディズムの象徴である英国紳士の着こなしから始まったものです。
英国のトラッドスタイルと言えば、肩が角ばったジャケット、ベストとパンツのスリーピースにタイドアップ、そして、アーガイル柄やグレンチェックなどの伝統的なデザインが特徴でしょう。
このように、洗練された知的な印象を相手に与えつつ、男性ならではの魅力を表現できるトラッドスタイルは、メンズの誰もが憧れる大人コーデと言えますね。
トラッドスタイルにも2つの種類が!英国から米国流に派生した「アメトラ」
英国紳士をルーツとするメンズのトラッドスタイルは、いわゆるブリティッシュトラッドだけでは収まらず、アメリカで独自の進化を遂げて「アメリカントラッド」へと派生しています。
アメリカントラッドは、通称「アメトラ」とも呼ばれ、フォーマルで型にはまったブリティッシュに比べて、ラフでカジュアルな印象があります。
例えば、肩パットが入っていないブレザーに細身のチノパンなど、自由度の高い着崩したスタイルが特徴です。
体に沿ったスマートなシルエットというよりも、全体的にゆとりがある窮屈感のない着こなしでしょう。
つまり、日本における近年のトラッドスタイルは、ブリティッシュとアメリカンの双方の影響を受けて流行しているメンズファッションと言えますね。
では、このような派生したトラッドファッションでは、どのように靴選びをすればいいのでしょうか。
次項から詳しく見ていきましょう。
トラッドスタイルのメンズ靴はウイングチップが定番!
まず、どんなトラッドスタイルにも合わせられる代表的な靴としては、「ウイングチップシューズ」が挙げられます。
ウイングチップ(Wing tip)シューズとは、イギリスでは「フルブローグ」と呼称され、つま先に鳥の翼(Wing)のようなW型の切り替えが施された革靴を指します。
一般的に、メダリオンのようにつま先にいくつもの小さい穴飾りが施されており、もとは16~17世紀ごろのスコットランドおよびアイルランドに遡り、ケルト系民族の労働靴や狩猟靴が起源とされています。
19~20世紀にイギリスで大流行し、その後、アメリカへ渡ると独自のスタイルにアレンジされ、アメリカントラッドでも欠かせないアイテムとなっています。
フォーマルすぎずカジュアルな印象である一方、革靴ならではの上品さを備えることから、メンズのトラッドな大人コーデに大活躍する重宝アイテムでしょう。
ウイングチップには3つの種類!違いを知ってトラッドの靴コーデを
ブリティッシュでもアメリカンでも、どちらのトラッドスタイルにも活躍するウイングチップは、さらにその種類が細かく分けられます。
種類によって全身の雰囲気が大きく左右されるため、それぞれの着こなしにマッチする種類を選ぶのがおすすめです。
ウイングチップは主に3つの種類に分けられます。
①スタンダードなウイングチップ(フルブローグ)
前述したように、つま先にW型の切り替えとメダリオンが施されている革靴です。
装飾がシンプルなので、メンズでは比較的ビジネスシーンでも使うことができます。
カジュアルなアメリカンよりも、スマートなブリティッシュトラッドとの相性がより良いでしょう。
②ロングウイングチップ(アメリカンブローグ)
アメリカで独自の進化を遂げたウイングチップで、つま先のW型の両端がバックステイまで一直線に伸びているのが特徴です。
日本では「おかめ」と呼ばれることもあります。
ブレザーやチノパン、デニムなど、ラフなアメリカントラッドコーデとの相性が抜群でしょう。
③ブラインドフルブローグ
華やかなメダリオンなどが施されておらず、他の2種類に比べるとシンプルで落ち着いた印象があります。
中庸なバランスがあるため、ブリティッシュでもアメリカンでも器用に履きこなせる魅力があります。
また、以上のような種類の中でも、カーフやスエードなど、素材によっても印象が変わってきます。
なお、アメリカントラッドでよりカジュアルに着こなす場合は、スニーカーやローファーを合わせても良いでしょう。
トラッドなメンズ靴には「Church’s(チャーチ)」のウイングチップを
これまでに、トラッドスタイルの種類からおすすめのメンズ靴について詳しくご紹介してきました。
ここからは、メンズのトラッドスタイルに合わせたいウイングチップの定番ブランドをご紹介していきます。
始めにご紹介するのは、イギリスを代表する「Church’s(チャーチ)」です。
Church’sは、1873年に革産業の聖地、ノーサンプトンで創業されたイギリスの老舗革靴ブランドで、伝統的な正統派英国紳士の革靴モデルとして根強い人気を確立しています。
また、トラッド好きな男性が憧れるダンディズムの代名詞、007のジェームズボンドも愛用していたと言われ、イギリス国内はもちろん、日本でも絶大な人気を誇っています。
中でも、「グラフトン(GRAFTON)」はChurch’sが手掛ける人気のウイングチップモデルの一つです。
黒光りする美しい光沢は、クオリティ高い素材を丹念に磨き上げた職人の伝統技術によるもので、ひときわ存在感を引き立てます。
また、グラフトンの特徴は、踵からぐるりと一周するパーフォレーション(穴)の装飾で、英国靴ながらアメリカントラッドの影響も伺えることです。
そのため、ブリティッシュトラッドだけでなく、アメリカントラッドなスタイルでも違和感なく履きこなすことができるでしょう。
こだわりの強いトラッドシューズを探している方には、ぜひChurch’sをチェックしてみると良いでしょう。
英国王室認定のTricker’s(トリッカーズ)でトラッドスタイルをこだわり抜く
トラッドスタイルのメンズ靴では、英国王室のお墨付きである「Tricker’s(トリッカーズ)」も忘れてはならない老舗ブランドです。
Tricker’sも革作りの盛んなノーザンプトンに構えるブランドで、創業1829年から続く英国随一の革靴老舗です。
長きに渡って英国人に愛されてきたTricker’sでは、一足を最初から最後まで一人の職人が仕上げる製造工程を持っており、世に一つしかない魂の革靴と言われてきました。
Tricker’sの数あるウイングチップの中でも、「バートン(BURTON)」は屈指の人気を誇る代表モデルです。
カントリーブーツを広めた先駆的なモデルでもあるバートンは、メダリオンやパーフォレーションの装飾美が印象的で、その洗練された技術には老舗たる老舗の貫禄が伺えます。
高級革なため、履き始めは硬く使いづらいですが、履き込むことで馴染み、味わいが増していく魅力があります。
スタイル関係なくトラッドファッションには合わせやすい一足と言えるでしょう。
納得のいくトラッドの足元コーデを
ブリティッシュ・アメリカンの2種類に分けられるトラッドスタイルですが、足元を飾る靴としてはウイングチップがおすすめの定番と言えます。
さらにウイングチップの中にも種類があるため、違いを理解したうえで実際に試着し、自分のスタイルに合った靴を選ぶのが良いでしょう。
今回の記事を参考に、トラッドスタイルの納得のいく靴コーデを考えてくださいね。