かつて、公園や山道で見かけた腰巻きスタイルを、ストリートでもみかけるようになってきました。
最近の腰巻きは、腰高で格好良いような気がします。
スケーターのようなパーカーの腰巻きも、登山者のようなネルシャツの腰巻きも、とてもスタイリッシュに見えます。
以前流行っていた腰巻きとは、どう違うのでしょうか。
今回は、メンズにも使いこなせる腰巻きの方法についてご紹介します。
腰巻きコーデが海外メンズにウケている
ここ数年来、海外のメンズの間で、腰巻きコーデが流行っています。
もともと腰巻きは、ボーダーやスケーターが体温調節のために行っていたものです。
スポーツは、身体が冷えたままで動き始めると反応がズレてしまい、怪我につながります。
しかし、運動を続けている間に発熱し、今度は身体をクールダウンする必要が出てきます。
その調節のために、着ていたアウターを途中で脱いで体温調節をすることが必要になるのです。
ところが、スケートボードやローラースケートは、移動しながら行うスポーツです。
脱いだアウターを、その場に置いておくわけにはいかず、持ち歩かなければなりません。
そこで彼らは、脱いだアウターを腰に巻くという手法を編み出したのです。
そして、アウターとしてうってつけだったのは、クッション性のあるスウェットのパーカーです。
ボーダーやスケーターが作り出したスケータースタイルは、アメカジの一派としてストリートファッションに受け入れられました。
そのときに、腰巻きもスポーツカジュアルのコーディネートの1つとして取り入れられたのです。
最近の流行は、その時代のリバイバルのようです。
ただし、今回の流行は機能性から来たコーディネートという訳ではないようです。
ストリートスタイルのコーディネートの一例として紹介されるようになったのは、見た目重視の腰巻きです。
メンズにとっての腰巻き!コーデのメリット
腰巻きコーデのメリットは、なんといっても体型の補正ができるという点です。
その1つは、お腹の出っ張りが目立たなくなること。
出っ張ったお腹が目立つのは、その位置に丸みを帯びた曲面が存在するからです。
わかりやすいのは、Tシャツなどの無地のプルオーバーで、生地が張っているとそこだけが強調されてしまいます。
ジャケットなどで隠そうとしても、ボタンホールから放射状にシワが入るようでは、やはり強調から逃れられません。
ところが、その位置に腰巻きの袖の結び目があると、印象は全く変わってきます。
のっぺりした面だった場所に、シワや影ができることで、お腹に出っ張りは意識されなくなります。
もう1つのメリットは、腰高に見えるという点です。
レディースには上半身と下半身をウェストラインで分けるコーディネートを見かけますが、メンズにはみかけません。
メンズの上下の境界線は、ベルトラインという文字通り、ボトムスのベルトの高さになっています。
腰巻きは、このベルトラインに変わって上下の境界線をつくります。
その位置をウェストまで上げれば、そのまま腰高に見えるということなのです。
腰巻きという言葉ながら、腰高に見せるための巻き方は、腹巻きと思えば良いでしょう。
この効果は、腰巻きをするウェアに個性が無いほど上がります。
それは、ボトムスとの連続性が上がるのためです。
無個性の腰巻きとしては、スウェット地のパーカーがおすすめです。
メンズの夏アウターにはパーカーがおすすめ
以前ほどではないにしろ、夏になると手ぶらで出歩くことを好むメンズが目立ちます。
そうすると、必要なアイテムは全てポケットの中にしまいますから、ボトムスの尻ポケットがスマホや財布で埋まっていたら、それ以外のモノは全てボトムスの前ポケットを膨らませることになります。
アウターを持つことで、その格好悪さから逃れることができるのです。
アウターのポケットを使うことで、ボトムスのポケットを膨らますことも、いつまでも手に持ちっぱなしになる煩わしさからも開放されます。
バッグを持たないのなら、ポケットの付いたアウターを持つのがメンズのたしなみといえるでしょう。
肌寒さを感じたら着ることもできるアウターは便利な反面、脱いだ際には荷物になってしまいます。
その点、パーカーであれば腰巻きにすることもできるので、着ても脱いでも荷物にならずに済みます。
重量のあるものは尻ポケットに入れ、そうでないチラシのようなものならパーカーのポケットに入れて腰に巻いてしまえば良いのです。
メンズパーカーは用途で生地が異なる
様々な生地やデザインが存在するレディースのパーカーに対して、メンズパーカーの選択肢はそれほど広くありせん。
パーカーの起源はフード付きの作業着で、別名としてフーディーとも呼ばれるトップスの総称です。
スケーターやヒップホップからの流れもあり、汗を吸い、動きやすいということでスウェットのものが広く浸透しました。
一方で、防寒性を高める進化をした、マウンテンパーカーという流れも存在します。
通気性の高いスウェット生地に対し、マウンテンパーカーはナイロンなどの通気性を持たない、薄手の生地で作られます。
メンズパーカーのバリエーションは用途によって広がるのであり、その用途によって生地も全く異なるのです。
スウェットのパーカーの場合、暑くなったら脱ぐのはパーカー自体で、そのまま腰巻きにすることが多くなります。
しかし、マウンテンパーカーの場合には事情が違ってきます。
マウンテンパーカーを着て暑さを感じるのは、山を登りつつある、周囲の空気が冷たくなった地点です。
その状況下で通気性を遮断していたマウンテンパーカーを脱いでしまうのは、身体を急激に冷やしてしまうことに繋がります。
空気の冷たい状況下では、アウターはそのままで、脱ぐのはインナーにしておくという手があります。
マウンテンパーカーの下には、ネルシャツを着用する人が多いのですが、それにも理由があります。
ネルシャツは毛足が長く保温性が高く、遭難時のために目立つ色が与えられているのです。
そして、この派手な色が、カラフルなファッションとしても受け入れられることになりました。
ネルシャツを腰巻きする
登山道で見かける姿の中に、マウンテンパーカーの裾から出たネルシャツを見かけることがあります。
それは、山の冷えた空気の中で通気性を抑えたマウンテンパーカーを脱ぐのを避け、保温性をインナーで調節した結果です。
体温が上がった時点で脱がれたネルシャツは、両手を空けるために腰巻きにされます。
リュックの中に入れてしまってもいいのですが、腰巻きの方が簡単で、更に体温の下がり過ぎを防いでもくれます。
見た目にも、マタギや修験者の尻当てのようで違和感がありません。
これを敷物のようにして座る気にはなりませんが、逆に色のポップさがオシャレに通じました。
特に、メンズファッションにおいては数少ないポップな色使いができるアイテムといえるでしょう。
今では、腰巻きといったらネルシャツを思い浮かべる人が多くなったように、ストリートユースでもメジャーになりました。
ただ、ネルシャツの腰巻きは、個性のないスウェットの腰巻きとは印象が変わります。
スウェットの腰巻きでは、ボトムスの延長として腰高に見せることができました。
しかし、ネルシャツは個性の強さから、上下を2分割ではなく、3分割してしまうのです。
腰巻きにされたネルシャツは、ウエスト位置のアピールとして使われることになります。
絞ってウエストを強調することもできますが、長いと脚が短く見えてしまうこともあります。
腰巻きにする際のたたみ方にも、実はそれぞれにコツが変わります。
パーカーとネルシャツのたたみ方の違い
巻き方については、捻りを入れたり斜めにしたりといった、特別なことはしないようにします。
特にメンズコーデでは、部分的なこだわりはバランスを崩す元になります。
オーソドックスに巻いて、腰巻きのメリットを十分に引き出すようにしたいところです。
スウェットのパーカーは、個性が薄い分だけボトムスとの連続性が高まります。
そのため、腰に巻いたパーカーの高さから下半身が始まり、高めに結ぶだけで脚長効果を発揮します。
フードは肩の高さで内側に折り入れて、そのまま巻けば出来上がりです。
長過ぎると感じる時は、一度だけアームの幅で折り返すようにします。
ジップアップならば、ジッパーは開いたほうが裾に出た広がりが腰を包むように回り込み、シルエットがきれいになります。
ネルシャツの場合には、派手な色合いが個性を強めるため、上半身と下半身の間に、腰巻きの部分を挟むことになります。
あまり長いと、逆に脚を短く見せてしまうことになるため、丈が短くなるようにたたむのがコツです。
アームの幅で内側に一度折り、高めの位置で巻くようにしてみましょう。
ラウンドテールなら二度折りにすることもできます。
二度折にするときは、外側に折れば、ウエストに絞りを作ることができます。
ボタンを全部開けてしまうと形が崩れてしまうため、上から1つか2つ留めて、その下は裾の余裕のために外すのが良いでしょう。
結び目は、1回結びだと解けやすいので、固結びかもやい結びで締めましょう。
腰巻きでスタイルアップ!
かつては体温調整のためだった腰巻きは、一時代を経て復活することによって、スタイル重視のテクニックに変わりました。
同じ見た目重視の腰巻きでも、腰に巻いたウェアの個性の強さによって、巻き方にも差が出てきます。
無個性のものはボトムスの延長として、個性の強いものはウエスト位置のアピールとして使います。
素材によって腰巻きを使い分けることで、コーディネートの幅は広がるでしょう。