スカートの裾がほつれて困ったことはありませんか。
こんな時、皆さんはどうしますか。
スカートの裾はミシンで縫ってあるものと、手でまつり縫いをしてあるものがあります。
スカートの裾の始末は、スカートの生地の素材や形によっても違います。
ミシンで縫ってあるものと、手でまつり縫いをしてあるものとでは、どう違うのでしょうか。
そして、裾のまつり縫いとは、どんな方法でしょうか。
今回は、スカートの裾の始末と、まつり縫いについてお話をしましょう。
普通のミシン縫いが増えている!スカートの裾始末
裾の部分はミシンで縫ってあるスカートが増えています。
ミシンで裾上げができるのは、おしゃれ着よりも普段使いのスカートが多くなります。
素材もポリエステルやナイロンといった化学繊維のスカートや、綿といった生地になります。
綿を使ったデニム生地のスカートは、生地そのものが厚くしっかりとしているため、ミシンで縫う方がきれいです。
ジーンズの裾と同じですね。
綿の生地を使ったデニムのスカートには、ピッタリとしたタイトスカートや、フレアースカートがあります。
デニム生地は固く、手縫いで上げると裾の折り線がしっかりと固定されないため、ミシンで留め付ける方法になります。
他にも、手で縫いにくいポリエステル生地は、スカートの裾を三つ折りにし、ミシンで上げる方がきれいに仕上げることができます。
そこで、手縫いのまつり縫いではなく、ミシンで縫ってあるのです。
同じミシンで裾を上げる時も、三つ折りにして縫う方法と、生地の端をジグザグミシンで始末して一度折り上げて縫う方法があります。
タイトスカートやギャザースカートは三つ折りでも良いですが、フレアースカートの場合は折ったところがずれやすいため、二つ目の方法が取られていることがよくあります。
二つ目の方法では、生地の端をジグザグミシンやロックミシンで始末し、1cmくらい折り上げてミシンで縫っています。
三つ折りをするよりも生地の使用量も少ないため、価格を抑えたスカートでもこの手法がよく取られています。
スカートの裾は、生地の素材や形・製造技術や販売価格によって違っているようです。
手縫いで裾をまつり縫いするスカートとは?
スカートの裾を手縫いで上げるものとして、スーツの下のスカートやドレス・ワンピースなどフォーマルなスカートがあります。
手縫いのまつり縫いはミシンでの裾上げと違い、表からほとんど糸の線が見えません。
しかし、ミシンで縫った場合は表から裾上げのミシン目が目立ちますね。
そのために普段使いになってしまいます。
手縫いの場合も、まつり縫いに慣れていない人が縫うと、縫い目が目立つときがあります。
しかし、ミシンのように裾全体の糸が表に出るわけではないため、遠目ではほとんどわかりません。
中でも、ベテランの上手な人がまつり縫いをすると、ほとんど表に出ないということもあります。
毛のツイード生地のスカートなどでは、まつり縫いをした糸が生地の糸と重なってほとんど目立ちません。
もちろん、その分技術が必要になります。
そこで、普段使いではなくオーダースーツのスカートや制服のスカートなどは、手でまつり縫いをしてあることが多いです。
また、柔らかい生地のスカートを使う時も、ミシンでは裾上げの線がねじれたりずれてしまうことがあります。
そのため、ポリエステルの生地でも、高価なフォーマル用のスカートやワンピースの裾は手縫いのまつり縫いがしてあることもあります。
スカートの裾をまつり縫いする方法
手でまつり縫いをする時は裾の生地がほつれない様に、まずはロックミシンなどであらかじめ始末をしておきます。
スカートの裾上げは、スラックスの裾上げとほぼ同じです。
スカートの裾上げができれば、家族のスラックスやズボンの裾上げもできます。
ギャザースカートやタイトスカート・プリーツスカートは、スカートを縫う時に印をつけた裾線にあわせて縫い代を上げます。
一方、サーキュラースカートやフレアースカートなどは少し手の込んだことをします。
スカートを一度人台に履かせて床からの裾上げ寸法を測り、シルクピンと呼ばれる細い待ち針で裾上げの線を留めます。
次に、スカートを人台からはずし、裾上げの線を折り上げてしっかりとアイロンなどで跡をつけます。
ギャザースカートでもフレアースカートでも、まつり縫いをする前に、しつけ糸で一度裾上げの縫い代部分の生地を表地に縫い付けます。
そして、絹の手縫い糸などでまつり縫いをします。
まつり縫いは縫い代の内側から針を通し、2cmくらい斜め先のスカートの表地をすくっていく、という縫い方です。
縫い目の幅が2cmくらいになるため、普通の並み縫いよりも粗い縫い目で大丈夫です。
慣れると半返し縫いや本返し縫いより簡単、という人もいます。
しかし、雑な縫い方で折り上げた裾の縫い代がねじれてしまうと、結局やり直すことになります。
そのために、待ち針でしっかり留める、しつけをかけるなど「まつり縫い」を縫う前の準備も大切になります。
ここまでのお話からも分かるように、まつり縫いはとても手間がかかります。
そのため、安いスカートや普段使いのスカートでこの手法を取ることは少なくなっています。
普段使いや低価格のスカートではもったいないということですね。
また、プリーツスカートのようにミシンで裾上げが難しいスカートの裾にも、手縫いのまつり縫いは使われます。
そのため、学校の制服のスカートは手縫いのまつり縫いを使っていることが多いです。
だからほつれる?ミシンを使ってスカートの裾をまつり縫い
普通、スカートの裾のまつり縫いというと手縫いですが、工業用ミシンの中には、まつり縫い専用のミシンもあります。
裾をひっかけたら糸がほつれて裾の縫い代が出てしまった、というのはこの手法を使ったまつり縫いです。
比較的安価で裾の出来上がり線のきれいなスカートのほとんどは、まつり縫い用の工業ミシンを使って仕上げています。
まつり縫い専用のミシンでは、まつり縫いをする部分をミシンの台に乗せてそのまま普通に縫うだけです。
とても簡単なため、大きな縫製工場ではこのミシンを使っています。
しかし、ミシンによるまつり縫いの困ったところは、普通のミシンでの縫い方と違い1本糸で縫っていることです。
糸が1本と聞いて、なぜそれがダメなの、と不思議に思った人もいるかもしれません。
しかし、普通のミシンで縫うことを想像してみて下さい。
普通のミシンの場合、糸は上糸・下糸の2本です。
2本の糸を上下で絡むように縫うからほつれません。
また、縫いはじめと縫い終わりは返しミシンという方法で、より糸がほつれない様にもしています。
しかし、まつり縫いの糸は、ただまつる裾の上をミシンの糸ですくいあげているだけになります。
玉止めや玉結びもしていません。
はじめと最後は返しミシンなどをやることもありますが、まつり縫いをした途中の糸が切れると、切れた部分を抑える糸はありません。
他の糸と絡んでいるところがないからですね。
そのため、裾からほつれた糸を引っ張ってしまうと、どんどんと糸がほつれていくということがあります。
皆さんもこういった経験、あるのではないでしょうか。
まつり縫い用の工業用ミシンを使うと、裾上げの時に普通のミシン目がほとんど出ません。
とてもきれいに仕上がります。
「つるし」と呼ばれるスーツのスカートは、ほとんどがこの手法で裾を上げています。
大量生産のフォーマルなスカートやワンピースの裾によく使われます。
しかし、工業用ミシンを使ったまつり縫いはちょっとほつれたら裾がどんどんとほつれてしまうというデメリットがあります。
1人暮らしの人はもちろん、出先でこういったことが起こった場合は焦らず手縫いでまつり縫いしましょう。
裾始末がしていないスカート
スカートの裾上げで、まつり縫い以外でミシンで縫う方法があるというお話をしましたが、最近はそれすらないというスカートもあります。
私たちがイメージするスカートの裾は、縫い代を1~3cm取ってまつり縫いをしたりミシンで縫うものです。
しかし、最近は縫い代がないスカートがあるのをご存知ですか。
生地の端がそのままのスカートの出来上がりの裾線ということになります。
縫い代がない裾は、いったいどういったものになるのでしょう。
まず1つ目は、デザイン性のあるスカートで、裾の切りっぱなしの部分を利用します。
わざとほつれている糸を生かし、生地の端をかがり縫いします。
かがり縫いをするため、完全にほつれるわけではありませんが、少し糸が垂れているのをデザインにしています。
2つ目は、スカート生地がレースになっていて、レースをそのまま生かしたり、裾部分にレースの模様が入っているものです。
2017年、2018年に流行ったレースのギャザースカートがこのタイプでした。
3つ目はパイピングと言って、スカーフやハンカチの淵のようにスカートの裾部分にあらかじめ、ほつれない処理がしてあるものです。
パイピングの中には、ロックミシンを使って処理したものと、専用のテープを生地にはさむようにして処理したものがあります。
生地そのものに、パイピングが施されているものを用意してスカートを作ることができます。
しかし、ロックミシンがあれば、普通の生地でも自分でパイピング処理をして、裾上げのいらないスカートを作ることもできます。
スカートの裾はまつり縫いをしてあるものがほとんどですが、最近はデザインによって裾上げも色々変わってきました。
まつり縫いをしているスカートの裾だからできること
普段着のスカートの裾を上げる時、手のまつり縫いのスカートの必要性がわからない、と思った人もいるかもしれません。
確かに、大人のスカートなら裾の縫い代を1cmくらい取って、ミシンで普通に縫ったものでもかまいません。
しかし、縫い代が1cmくらいしかなく、しかもミシンで縫ってしまうと困ることがあります。
工業用ミシンのまつり縫いは、裾上げの糸切れるとほつれていくというデメリットがありました。
ミシンでしっかり縫ってあるのだから、出来は良いように思えますね。
しっかり縫った糸は、ほどいた後どうなるでしょうか。
そして、縫い代が1cmくらいしかない、というのはどういったデメリットが考えられるでしょうか。
まず、1つ目はミシンの跡が残ります。
2つ目は、縫い代が1cmしかないためスカートが短くなっても伸ばすことができません。
つまり、スカートの丈を伸ばすことができないため、身長が伸びたときには履けなくなってしまうのです。
大人の場合、すでに成長期は過ぎていますから問題ありません。
しかし、成長期の子どもは1年で数cm伸びます。
身長が伸びれば、スカート丈も短くなります。
小学生くらいの子どもなら、少しくらい短くても良いではないか、と思っていませんか。
みんな身長の伸びに合わせて、体型にあった服を着る時代です。
だからと言って、毎年新しいスカートを何枚も購入するのは無駄になります。
そこで、元々のスカートの裾を一度ほどいて伸ばすと、縫い代が3cmくらいあります。
アイロンで折り線をきれいに伸ばし、丈を伸ばして裾上げをし直すことができます。
特に制服のスカートは、丈の長さが校則で決められている学校もあり、かといって毎年購入するわけにはいきません。
そのため、中学1年生の時は、あらかじめ長めのスカートを購入し、裾を多めに折り上げてまつり縫いをしている人もいます。
身長の伸びに合わせて、裾をほどいて少しずつ長くして履いています。
こういった裾の調整ができるのは、まつり縫いだけです。
一見、面倒に思えるスカートの裾のまつり縫いですが、ちゃんと意味があって長い間利用されているということです。
まつり縫いを覚えてスカートの裾のほつれ直しも
スカートの裾の始末にも色々あります。
しかし、一番基本的でリメイクなどにも対応できるのがまつり縫いです。
手でまつるのは面倒ですが、一度まつり縫いを覚えてしまうと裾がほつれたときに簡単に直すことができます。
特に、工業用ミシンでまつり縫いがしてあるスカートの裾上げはちょっとしたことでほつれることがあります。
自分で裾上げができれば、いつでも直すことができます。
これから1人暮らしを始める人は、ぜひまつり縫いを覚えて、スカートの裾上げのほつれを自分で直しましょう。