単独で着てしまうと頼りなくて、なにか物足りない半袖のTシャツ。
あまり着れてもいないのに、手頃な値段も手伝って、ついお気に入りを見つけては買ってしまうものです。
しかし、せっかく買ってもらったのに、着てあげなくてはTシャツも可哀想です。
頼りないTシャツを、頼もしく変える技があります。
重ね着という技をマスターして、着なくなったTシャツにも活躍してもらいましょう。
半袖のシャツを重ね着で再生する
タンスの奥にしまいっぱなしになっていた半袖のTシャツが、何枚かあるのではないでしょうか?
胸のプリントに惹かれて購入したけれど、いざ着てみると思ったような印象ではなかったということがあります。
また、Tシャツ単体で見て立派に見えたものが、着てみたら身体の貧弱さが目立ってしまい、気持ちが削がれてしまったということもあるのではないでしょうか。
半袖のTシャツは、1枚の布で縫製されたカットソーなので、素材も形状もアンダーウェアと近い関係にあります。
思えば、アンダーウェアと似た半袖Tシャツを、アウターのように使おうと思うこと自体に、意識のズレが生まれていたのかも知れません。
日の目を見なくなったTシャツでも、重ね着に使うことで生まれ変わることがあります。
重ね着をすることで、首周りと袖口に2枚のTシャツの色の差を出して、そこに縁取りを作ることができるのです。
出来上がった縁取りによって、半袖のTシャツもアンダーウェアの印象から逃れることができるようになります。
重ね着のポイントをマスターして、眠ったままの半袖のTシャツを活用しましょう。
重ね着のポイントは首と袖と裾
半袖Tシャツの重ね着の狙いは、アンダーウェアの印象から遠ざけることです。
そのためのポイントは、首周りと袖口に縁取りを作ること。
基本は、2枚の色の差を持ったTシャツを用意し、外側のTシャツから内側のTシャツがはみ出すように重ねることです。
首周りの縁取りは、同じブランドの1サイズ違いを使うとキレイなラインが出ます。
その場合には、袖口で内側のTシャツが隠れてしまいますから、ロールアップを使って縁を出すようにしましょう。
首周りの縁取りは、2枚のTシャツのネックラインを変えることでも作り出すことができます。
内側にクルーネックを着て、外側にはVネックやボートネックを合わせるという組み合わせです。
Uネックを合わせても縁取りを作ることは出来ますが、シャープな印象にはならないため、少し難しくなるようです。
縁取りとして作った2つのポイントは、同時にアクセントにもなります。
Tシャツの組み合わせによって変わる、色の差や縁取りの形を楽しみましょう。
アクセントという意味では、裾にも縁取りを作ることができます。
実は、この裾の縁取りが、最も印象を変えることができるポイントです。
裾が作るラインには、上半身と下半身を切り離す重要な役割があります。
そのラインが上がれば、腰の位置を高く見せることができます。
上下濃色の中に、白のロンTなどでラインを太く作れば、全身を3分割することもできるのです。
半袖の重ね着はシャープにスマートに
半袖のTシャツを重ね着する時、気を付けたいのはダボダボにしてしまわないことです。
かつて、インナーの重ね着は古着のコーデやB系の着こなしで流行った時代がありました。
その頃の印象が残っていると、ダボダボ同士で重ねるのがオシャレと感じてしまうかも知れません。
しかし、シャープにスマートにというのが、最近のオシャレの流れです。
この流れは、なにもダボダボが流行った時代へのアンチテーゼであるだけではありません。
身体に合わないサイズを着せられている子供っぽさからの脱却であり、自分のサイズをコントロール出来ている大人を誇示しているものでもあります。
その流れが顕著に現れているのは、ボトムスでしょう。
街では、細身で暗色のボトムスの裾をロールアップさせて、足首が出ている穿き方が好まれています。
袖にも同じことが言えます。
長くブカブカの袖よりも、短めで腕にフィットした幅の袖の方が、スマートで知性的に見えるものです。
袖口がスマートなものを用意できなければ、2枚揃えてロールアップするという手もあります。
重ね着するシャツの色の組み合わせ
半袖Tシャツと肌との間に、明白な境界線を作るには、トーンの差を利用します。
重ね着する2枚のうち、1枚は濃色に、もう1枚は淡色にといった組み合わせです。
淡色側に使うのには、何の色とも相性の良い白が無難でしょう。
内側に濃色を、外側に白を重ねると、肌と生地の間に作られる境界線の色は、内側に着た濃色です。
主張をしていなかった白のTシャツが存在感を主張し、一気にカジュアルな度合いを増します。
内側に白を、外側に重ね着すると、肌と生地の間の境界線の色は白になります。
元々、外に出る色がアンダーウェアの印象を持ち合わせていないため、この組み合わせでは肌との間に境界線を作ることへの必然性はありません。
この組み合わせで作る白の縁取りは、清潔感の演出が目的になります。
裾に出す色を考えると、濃色パンツとの組み合わせでは、内側を白Tにするのがベストな配色になります。
気を付けて欲しいのは、外側のTシャツに薄手の生地のものを選んでしまうと、内側のTシャツの色が透けてしまうという点です。
白は特に透けますので、外側用として使う時には厚手のものを選びたいところです。
逆に、色が透けて見えることを狙いにしても良いと思いますが、狙った通りになっているかは判断が難しいです。
長袖シャツに半袖シャツを重ね着する
かつて流行った半袖Tシャツの下に長袖を重ね着するスタイルは、今でも健在です。
この組み合わせでは、外に着たTシャツはアウターに近い印象になります。
トレーナーやパーカーのように、余裕を持ったサイズの方がバランスよく収まります。
インナーとして着る長袖Tシャツも、腕にピチピチのものでなく、袖に余裕を持ったサイズを選べば全体的にルーズな雰囲気にまとまります。
インナー役の袖の役割は、もはや縁取りではなくアクセントでしかありません。
アウター役のTシャツとのトーンの差を思い切り出し、白と黒の組み合わせや、無地とボーダーの組み合わせを楽しみましょう。
思い切って、インナーにハイネックやタートルネックを合わせられるのも、長袖ならではの楽しみ方です。
逆に、同色で合わせてレイヤード感を薄めてしまうという組み合わせも面白いかもしれません。
この組み合わせでは、袖口でインナー役とアウター役のサイズ感の差を大きく取って、シルエットで楽しむことができます。
また、お気に入りのプリントやブランドロゴを活かしたい時にも、有効なテクニックになります。
ニットとの重ね着でチラ見せを狙う
半袖Tシャツの重ね着には、他にも多くの楽しみ方があります。
特にレディースのコーディネートでは、少しだけ顔を覗かせた下に着たTシャツが、強いアクセントになります。
その中でも、効果的に女性らしさを表現できるのは、ニットとの重ね着でしょう。
クルーネックから覗く白Tは、清潔感を加えます。
ロンTの裾で作った帯は、上下を3つに分割してノッペリ感を消してくれます。
サイドスリットから大ぶりのボーダーを覗かせれば、動きに連れてメリハリが顔を出します。
長めの袖のロンTならば、ニットの袖からはみ出した袖口をクシュっとさせてフェミニンを漂わせることもできます。
レディースファッションにとって、レイヤードスタイルはしなくちゃ損というくらいにメリットだらけ。
使い勝手が良い白のロンTや濃色の長袖は、ぜひ持っていたい重ね着アイテムです。
重ね着によるチラ見せの極意を身に付けて、見せたくなるオシャレを楽しみましょう。
重ね着で自分らしいオシャレを楽しもう
タンスの奥に眠っていた半袖のTシャツも、実は重要な重ね着のアイテムです。
重ね着によって作られる縁取りは、同時にコーディネートを飾るアクセントでもあります。
そのポイントは、場所、色、形を上手く組み合わせること。
曖昧なポイントには縁取りを、物足りない場所にはアクセントを、裾で腰の高さも調整できてしまいます。
重ね着で作るアクセントを使いこなして、自分らしいオシャレを楽しみましょう。