「アシンメトリー」という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。
美容業界においてヘアカットの方法として、アシンメトリースタイルという表現がよく使われます。
左右の髪の長さを統一せず非対称にすることで変化や動きを出すカットですが、アシンメトリーは服においても使われる言葉なのです。
ここでは、アシンメトリーな服について、その由来や効果、そしてレディース向けの着こなし方をご紹介します。
アシンメトリーな服とはどんなもの?
アシンメトリーとは、「左右非対称」を意味する英語です。
反対の「左右対称」の状態はシンメトリーと言います。
西洋の建造物やフラワーアレンジメントなどを見てみると、シンメトリーなものが多く見受けられます。
バランスの取れたシンメトリーな形を好む風潮が、西洋には強くある印象です。
一方、左右のバランスを意図的に変えるアシンメトリーは、日本的な美意識と言えるようです。
建造物、部屋や庭の作り、花の生け方など、アシンメトリーをいかした作りがあちらこちらに見られます。
あえてアシンメトリーにすることで、空間に独特のリズムを生み出しているのです。
ではアシンメトリーな服とは、どのようなものを指すのでしょう。
それは、衣類の裾の長さが前後、左右などで異なるものをいいます。
一見、バランスが悪く不安定にも思えるアシンメトリーなデザインですが、いざ身に付けてみると、その変化あるスタイルが有効にはたらくことが分かります。
レディーストップスやスカートなど、アシンメトリーを取り入れたアイテムはたくさんあるのです。
アシンメトリーな服の効果とは?
シンメトリーは、見た人に安定感、安心感などを感じさせます。
動物の中には、配偶者を選ぶ際に、体がシンメトリーであることを優先するものがいると言われます。
人間の赤ちゃんは、シンメトリーな顔を好み目で追うという研究結果もあるようです。
生物においてシンメトリーであることとは、その個体の健康さのバロメーターとも言えるのです。
一方でアシンメトリーには、悪く言えば、見た人に違和感を感じさせる力があります。
しかしその違和感は、芸術作品やヘアスタイル、服などにおいては、リズムや動きを感じさせるという形で効果的にはたらきます。
例えば、レディースアイテムの中でも代表的なスカートで考えてみましょう。
裾の長さが前後で異なるロングスカートを想像してください。
風を受けてひらひらとなびくスカートに、アシンメトリーにした裾の効果で更に動きが出て、滑らかな流れを感じさせます。
アシンメトリーなアイテムは、シンメトリーなものに比べ、人の目をひきます。
そのため、アシンメトリーなアイテムをコーデの中心として考え、他はシンプルにまとめるのが、まとまりよいコーデのコツです。
アシンメトリーファッション、いつ頃から流行?
西洋のファッションは、理想の形を求めるべく、人間をも芸術作品として仕上げるような一面を持っていたのかもしれません。
特に、レディース向けの服に関して、その傾向が強いようです。
コルセットやパニエなどからも分かるように、女性の本来あるべき姿よりも、人工的な美を優先するような面があったとも言えるのでしょう。
アシンメトリーなファッションは、いつ頃から人々に取り入れられてきたものなのでしょう。
服にアシンメトリーが取り入れられたのは、1980年代、某日本人デザイナーによると言われます。
ファッション界におけるさまざまな常識を覆し、性別や地域をも超えた考え方によるデザインから生まれたのが、アシンメトリーなファッションと言えます。
服からは少し離れますが、アシンメトリーについては、もっと古い時代から日本人には根付いていた感覚なのです。
日本においては古代から、アシンメトリーな感覚によりさまざまな作品が創作されていました。
例えば、縄文時代に作られていた縄文式土器は、アシンメトリーのオンパレードです。
まるで炎が燃え盛るような、地下からマグマが噴出しているような動きのあるデザインが、縄文土器には見受けられるのです。
今より5000年以上も昔の人々に、アシンメトリーな感覚がすでに備わっていたことにまず驚きます。
それと共に、古来から受け継がれてきた日本人の感覚に、尊敬の念を抱かずにはいられません。
レディースのアシンメトリー服にはどんなものがある?
レディース向けの服には、どのようなアシンメトリーアイテムがあるのかを挙げてみましょう。
裾の長さが対称でないワンピースやスカート、独特な形をした変形スカート、片方の肩のみが開いたワンショルダートップス、裾の長さが前後で異なるトップス。
ざっと挙げても、実にたくさんのアイテムがあることが分かります。
また、アシンメトリーな服は、形だけで表現されているわけではありません。
描かれている模様でアシンメトリーを表現する場合もあります。
アシンメトリーな服は、非常に個性的です。
こうすれば正解、こうあるべきといった、常識的な感覚を基準として着るものではないのかもしれません。
常識から少し離れて、自分の自由な感覚で楽しむことができるアイテムと言えるでしょう。
既成のアシンメトリーな服を楽しむのはもちろん、裁縫が得意な方であれば、自由な感覚で制作してもよいでしょう。
その人だけの感性がいきた、世界に一着しかないものが出来上がるかもしれません。
アシンメトリーコーデ【レディーススカート編】
アシンメトリーな服を使ったレディースコーデをご紹介しましょう。
女性ならではのアイテムと言えばスカートですが、アシンメトリーがいきたスカートが数多くあるのです。
前後の裾の長さが異なるスカートは、シルエットの美しさで好評です。
柔らかな素材であれば、そのシルエットがまるで華麗に泳ぐ熱帯魚のようにも見えます。
歩くたびにひらひらと風を受けてそよぐ裾は、女性らしさたっぷりです。
シンプルなカットソーやブラウスと合わせて、上品に着こなすのがおすすめです。
左右の裾の長さが異なるスカートは、印象的なシルエットです。
動きを感じさせるこのタイプは、シンプルなトップスと合わせてスカートをいかすのがおすすめです。
クールな印象でもあるため、ジャケットと合わせてきりっと決めても素敵です。
アシンメトリーなレディーストップス、コーデ例をご紹介
スカートと同様トップスも、アシンメトリーの面白さをいかした服が多くあります。
裾の長さが前後や左右で異なるもの、襟のデザインが変形したものなどが代表的でしょう。
異素材同士を組み合わせて変化を付けたものも面白いですね。
前後の裾の長さが異なるアシンメトリートップスは、着るだけでまるで前だけをインしているようなシルエットになります。
おしゃれな着こなしが自然と叶う、すぐれものです。
左右の裾の長さが異なるトップスは、そのまま着るだけで動きのあるシルエットが完成し、おしゃれに決まります。
長い方の裾を結ぶなどしてアクセントをつけても、こなれ感が出てよいでしょう。
また、片方の肩のみを出すスタイルのワンショルダートップスは、露出が多すぎることなく、健康的な肌見せが叶います。
気軽にこなれた雰囲気を出したいときには、アシンメトリーなレディーストップスを取り入れてみましょう。
自由な発想でおしゃれを楽しもう!
アシンメトリーな服について、その誕生のきっかけや意外な効果、レディース向けのコーデ例などをご紹介しました。
日本では古くからアシンメトリーな感覚が息づいていたのですね。
アシンメトリーな服は独特の雰囲気を持ち、着ることで個性を発揮できるアイテムと言えます。
アシンメトリーの魅力をいかし、こなれたおしゃれをお楽しみください。