シャツの袖丈の直し方を知って自分でジャストサイズに直そう

人の体型は千差万別です。

既製品のシャツを購入した時、「首回りや胸回りなどに合わせると袖丈が長くなってしまう」という方も多いかと思います。

そのままでは、ジャケットなどからカフスが見えすぎてしまい、あまりカッコいいものではありません。

そこで、シャツの袖丈の直し方や袖つめの方法、困った時の対処法などをご紹介します。

シャツの袖の構造とパーツ名称

シャツの袖にはさまざまな部位があります。

袖丈の直し方を知る前に、まずシャツの構造を知っておきましょう。

袖には肩先部分にあたる「袖山」、そして袖の先端にあたる「袖口」とありますが、長袖の袖口はさらに「カフス」「剣ボロ」「ガントレットボタン」などのパーツで作られています。

「カフス」は袖口を留める役割をはたしており、ジャケットなどからも顔をのぞかせる大事な部分です。

そして「剣ボロ」は袖先についている短冊状のパーツを指し、剣ボロと対になる部分は「下ボロ」といいます。

剣ボロは、シャツを脱いだりする際や袖をまくる際に便利になるように袖口に入れた切り込み部分を、切りっぱなしではなくキレイに仕上げるために考えられたものです。

そして、その剣ボロについている少し小さめのボタンを「ガントレットボタン」といい、切り込み部分が開いてしまわないためについています。

剣ボロのついている開き部分は、カフス部分をアイロンで平らに仕上げる際にも必要なため、剣ボロ(開き)の長さはカフスが平らに伸ばせるようにカフスの半分の長さを目安に作られています。

袖口で直す!シャツの袖丈の基本の直し方

シャツの袖丈を直す際は、基本的には袖口部分で直す方法がきれいに仕上がります。

袖口で直す方法としては、剣ボロを移動させる方法と剣ボロをカットする方法がありますが、見た目や機能面などを考えると剣ボロを移動させる方法をおすすめします。

それでは具体的な直し方をみていきましょう。

まず、カットしたい長さを決め、カフス・ガンレットボタン・剣ボロ(下ボロも)などをほどき、袖を分解します。

慣れるまでは、どのような構造になっているかや元の縫い付け方などを確認しながらほどき、外したカフスなどは左右が混ざってしまわないよう注意してください。

各パーツをはずしたあとは、袖端と開き部分をカットします。

袖端には1センチの縫い代分を忘れないようにし、開き部分は切り込み端がY字になるようにカットしましょう。

次に各パーツを「下ボロ→剣ボロ→(タック)→カフス」の順に縫い付け、ガンレットボタンをつければ完成です。

シャツの袖は袖山から袖口に向かって細くなっているので、袖口をカットするとカフスの幅との間に誤差が生じます。

この誤差はカットする長さによって違いますが、袖幅を細くするなどで調整しましょう。

誤差が少ない場合はタックの折り幅で調整する方法も可能です。

袖山での直し方も知っておこう

袖口で直す方法を知っていれば、袖山で直す方法を知っていなくてもいいのではと思う方もいるでしょうが、中には袖口の方で直せない場合があります。

袖口(剣ボロを移動させる方法)で直せない場合とは、剣ボロのボタンホールが横に空いている場合や、ガントレットボタンにドットボタンが使用されている場合などです。

そのような場合は、袖山の方で袖丈を直すしかなくなりますので、袖山での直し方も知っておきましょう。

縫い目をほどき、身ごろと袖をばらしますが、再度縫い付けるときに袖山がわからなくならないように、ほどく前に身ごろの袖山部分に糸印を付けておきましょう。

そして、短くしたい長さをカットしますが、袖山から袖丈を直す場合はカットする長さを最大でも6センチまでにおさめてください。

袖口での袖丈の直し方の時にも触れましたが、シャツの袖は袖口に向かって細くなっています。

ですから袖山から直した場合も、袖口の時と同じように元の幅と誤差が生じます。

生じた誤差は、袖下に似たような布を継ぎ足すか、身ごろのワキ部分を縫い込むことで調整していきましょう。

そして、身ごろと袖を再度縫い合わせれば補修完了です。

縫い合わせる際は身ごろと袖の表同士を合わせ、身ごろの中に袖が入っている状態して、袖の下(ワキ部分)から縫います。

袖の下の部分は丈夫に仕上げるために、縫い目を重ねるように2回縫いましょう。

学生服などのシャツやブラウスは切らずに袖丈調整

園児や中高生などの制服は成長を加味し、大きめのものを購入する方が多いと思います。

その場合、大きくても切って直しては意味がありませんから、多くの方が袖丈をつめて調整しているでしょう。

こういった袖丈の直し方は手縫いでもできますが、心得たいことがありますので、順にみていきましょう。

まず、袖丈をつめることができる場所として考えられるのは、袖口・袖の付け根・襟の下・袖の途中の4箇所です。

見た目がきれいという点で、一番おすすめできる場所は袖口になりますが、タックやギャザーなどがあるため、少し難易度が上がります。

袖の途中でつめるのは一番容易ですが、成長に合わせほどいた時につめていた線が目立ってしまいます。

また袖の付け根も比較的容易にできますが、つめたい幅が大きい場合には向いていません。

襟の下でつめる方法は、肩幅を調整したいときにも活用できます。

シャツだけで着用した時や、上にジャケットやベストなどを着用した場合、そしてやりやすさなどさまざまな状況を考えあった方法を試してみましょう。

袖丈つめでの直し方ポイント

手縫いでシャツの袖丈を直す時の基本的な縫い方は「コの字縫い」を利用しますが、袖の途中でつめる場合は「ぐし縫い」で行います。

袖の付け根・襟の下・袖の途中で直す場合は、つめたい長さ分を裏側につまんでコの字縫いまたはぐし縫いで縫います。

襟の下で直す場合は、襟に隠れる部分で目立たないようにしましょう。

袖口部分での直し方で大事になるは、タックやギャザー部分です。

元の袖口と縫い合わせたい場所では袖幅が違うので、タックやギャザーで調整しますが、その際にはあらかじめしつけ糸などでとめておくと扱いやすくなります。

どの場所で直す場合にもいえますが、後でほどいた際に縫い穴が少しでも目立たないように大きめの目で縫いましょう。

袖丈を直すほどではない時や自分で直せない時は?

シャツの袖丈の直し方ではありませんが、少し長いだけで直すまでもない時や、直すまでの間の一時しのぎとしてできる方法や手段をご紹介します。

袖丈の長さが少しの場合は、カフスのボタン位置を付け替えることで対応できます。

また、「アームバンド」や「シャツガーター」などを使用し、袖丈や気になるだぶつきを解消できます。

アームバンドやシャツガーターは調整がしやすく、100円ショップなどで手に入るものもあるので、1つ持っているといざという時に便利です。

アームバンドを購入する際は、うっ血などを起こさないように、きつすぎないものを選びましょう。

そして、「ミシンもないし、直すのは難しそう」という方は、洋服修理店などで直してもらうのもひとつの方法です。

洋服修理店などは料金も技術力もさまざまですので、お気に入りのシャツや高価なシャツを補修に出す際には、よくお店を吟味して選択しましょう。

自分に合ったサイズで快適シャツ生活を

オーダーメイドなどで自分にピッタリなシャツを着用できるのが理想ですが、なかなかそうはいかないのが現実です。

そんな中でも既製品のシャツの袖丈の直し方を知っていれば、カッコよくキレイにシャツを着こなすことができます。

日頃、裁縫をしない方は、シャツの袖を直すのに慣れるのに少し時間がかかるかもしれません。

しかし、気持ちよくシャツが着れるように、ぜひシャツの袖丈直しにチャレンジしてみてください。