オシャレなコートも生地を選べば暖かい着こなしに!

モフモフに膨らんだアウターは見た目にも暖かそうです。

しかし、冬の必須アイテムであるコートには、暖かさ以外にも相手に伝える印象という大きな役割があります。

モフモフに膨らんだコートでは、着ぶくれ感が出てしまいますよね。

では、スタイルを優先するために暖かさを犠牲にしなくてはならないのでしょうか。

実は、生地を選ぶことでスタイルと暖かさの両立も可能なのです。

暖かいコート選びのために、代表的な生地の素材についてまとめてみました。

コートに使われる生地の種類

暖かさの熱源は、基本的に身体から放熱される体温だけです。

そのため、熱伝導率の小さな長い繊維同士が、お互いの間に空間を作るように絡み合っている生地が、暖かい生地をつくります。

【ウール】

ウールとは動物繊維の一種で、羊毛を用いた糸や、織った布もウールと呼ばれています。

一般的には羊の毛を指す名称ですが、アンゴラ・アルパカ・ラクダについてもウールと呼ばれることがあります。

吸湿性や撥水性がよく、保温性にも優れているのが特徴です。

さらに、復元性にも優れているためシワになりにくく、アウターには欠かすことのできない素材です。

【アンゴラ】

毛足の長いアンゴラ兎の毛によって織られた毛織物の総称です。

アンゴラの毛は、繊維の太さが非常に細く、中空構造になっています。

そのため、ふんわりとしたやわらかい感触と、軽量で暖かいことが特徴です。

【キャメル】

衣料用に使われるのは二こぶラクダのもので、年に一度の脱毛で落ちた毛を拾い集めて使うため、採取できる量は大変少なくなります。

毛はとても強くて軽く、毛と毛の間に空気を含んで盛り上がる性質があります。

保温性、弾力性、手触りの柔らかさに優れ、独特の光沢が特徴的です。

染色性が良くありませんが、地のキャメルカラーが十分に美しく、受け入れられています。

柔らかい毛と硬い毛に分類され、柔らかい毛はウールよりも細く風合いの良い製品になる一方で、硬い毛はベルトや芯地などにも使用されています。

ポロコートの素材としても知られています。

【カシミア】

高級素材としてあまりにも有名になったカシミアは、インド北部原産カシミア山羊の毛織物です。

カシミヤ山羊は、寒い季節には外側の堅い刺毛の下に柔らかい「うぶ毛」が生えます。

このうぶ毛を、暖かくなって抜け落ちる前に櫛で梳き取ったものがカシミア繊維です。

コート一着を作るのに24頭分のカシミア繊維が必要になるということですので、高価になるのもうなずけます。

カシミアは繊維が細く、しなやかで軽いのが特徴です。

吸湿性に優れており、上品な光沢と独特の風合いがあります。

【ツイード】

素材の名前ではありませんが、伸縮性に富むざっくりとした風合いを特徴とする英国原産の紡毛糸を用いた織物です。

紡毛糸は、太く短い羊の毛を使用しており、繊維の向きが不揃いでたくさんの空気を抱え込むことができるため、軽くて暖かい糸になります。

特徴的な織り目は落ち着いた彩りを持つことから、高級感のある冬用のコートやジャケット地として人気があります。

保温性が高く、分厚い生地には耐久性もあります。

【コーデュロイ】

コーデュロイもまた、暖かそうなコートの生地として人気のある生地です。

ベッチンと同じく、綿を高密度に横ビロード織りしたパイル織物ですが、縦に畝が入ります。

毛羽(ケバ)に空気を含むことで保温効果が高く強度も高いため、オシャレなアウターの素材になります。

【その他の生地】

その他にも、軽く縮絨と起毛を施した毛羽で覆ったフランネル、ピーコートに使われるメルトン、独特な毛玉を持つカセンティーノ、モグラの毛皮のようなモールスキンといった、風合いに特徴を持った生地もあります。

さらに、防水性や丈夫さといった面では、ギャバジン、ゴム引き、レザーといった素材を使ったものも魅力的です。

暖かい生地と言えばダウン

暖かいコートの生地と言えば、なんと言ってもダウンです。

極寒地に挑む登山家や冒険家の殆どが、防寒具としてダウンを選んでいることからもわかります。

ダウンコートの中に詰め込まれているダウンとは水鳥の羽毛で、洋服に使われる繊維の中でも、特に毛足の長い繊維の一つです。

羽毛に含まれる繊維は、それぞれに独自の曲がり方をしているために、繊維が揃わずに広がるという特性があります。

その広がりの中にデッドエアー(動かない空気)を含むことによって、高い保温性を保つことができます。

ダウンのもう一つの特徴は、軽さです。

厚着のために、ともすれば重くなりがちなアウターに、ダウンコートの持つ軽さは、とても魅力的です。

最近では、厚みを抑えてスーツの上にでも着れるダウンコートや、インナーとして使うダウンも登場しています。

だからといって、寒い冬でもダウンが有れば良い、というわけにもいきません。

ダウンの長所である保温性は、電車の中や地下通路といった閉鎖されて暖房された空間では仇になることもあります。

また、ダウンウェア特有のふっくらした見た目も、組み合わせや場面を選んでしまうことは否めません。

暖かいコートならウールが定番

保湿性が高くて暖かい生地の定番のウールには、もう一つのメリットがあります。

それは、シワになりにくいということです。

また、生地自体に面としての強度を持つことから裁断に適しており、様々な形状に組み合わせられるというデザイン上の自由度もあります。

比較的安価で手に入るということもあって、天然素材の中では最も扱いやすい素材の一つです。

コートに限らず、ニットやスーツの生地としても歓迎されています。

そんなウールの欠点は、重いということと、縮みやすい、日光で変色しやすいという点です。

また、ウールの品質によっては手触りが硬く、チクチクするものもあります。

生地が厚くなりがちなので細身のものは動き辛くなりますし、ゆとりを持たせたものは重くなりがちです。

そういった欠点を補うために、ポリエステルなどの化学繊維が混紡されているものが多くなります。

カシミアのコートは暖かいだけではない

カシミア繊維の特徴は、繊維が細くて密度が高いということです。

そのため、一般的なウールに比べると手触りが滑らかで、光沢があります。

暖かいだけでなく、高級な仕上がりがカシミアで織られた生地の最大の特徴です。

ただ、その繊維の細さによって、摩擦に弱く擦り切れやすいのがカシミアの弱点になります。

雨の日や雪の日は使いにくいですし、毛玉もできやすくなります。

繊維を落ち着いた状態に保つには、ヘビーローテーションは避けた方が無難ですし、専用のブラシを使うことが推奨されます。

最高の着心地は提供するものの、その扱い難さによって、使い勝手は決して良いとは言えません。

カシミアのコートを選ぶのであれば、カシミア100%のものよりも他の素材と混紡されたものを選ぶのも知恵です。

ふわふわなアンゴラは見た目にも暖かい

アンゴラの毛はふわふわしていて肌触りが良く、暖かい、軽いということでオシャレ女子に人気の素材です。

カシミアほど高価ではないというのも、女子ウケの良いポイントかも知れません。

カシミアに比べるとサラッとしている手触りも、アンゴラ生地の特徴です。

しかし、アンゴラの生地はカシミアと同じくとてもデリケートです。

摩擦に弱く、傷みやすいという弱点を持っています。

さらに、毛が抜けやすく他の衣類に付きやすいという点も、扱いづらさに繋がってきます。

せっかくの可愛いアンゴラのコートも、インナーとの組み合わせだけでなく使う場面にも気を使わなければなりません。

そのような弱点を補うためには、アンゴラを選ぶ時にもウール等との混紡されたものを選ぶのが無難かも知れません。

生地の使い勝手ならポリエステルに軍配

天然素材の扱いの難しさに比べて、圧倒的に扱いやすいのがポリエステルです。

化学繊維のポリエステルは、丈夫で水に濡れても乾きやすい、シワになりにくく軽いという使い勝手のメリットを持ちます。

使い勝手の良さに加えて加工もしやすいということで、様々な衣服に利用されています。

そんなポリエステルのデメリットは、暖かさや肌触りといった、着心地の良さでは天然繊維に見劣りするという点です。

化学繊維は、表面が滑らかで繊維同士の間にできる空気の層が大きくならないという性質があります。

そのため、どうしても暖かいコートの生地としては、優秀とは言えなくなってしまいます。

着心地では負けるものの、購入のしやすさや製品のバリエーションの豊富さ、丈夫さがポリエステルの武器です。

細かいことは気にせず、ガシガシ使い、汚れたらワシャワシャ洗うというスタンスで使いましょう。

ちなみに、シワになりにくいというメリットを生かして、高級素材に低い割合で混紡させるという使い方もできる、陰の功労者でもあります。

暖かさもオシャレも捨てたくない

コートは冬の防寒着として必須アイテムですが、服装に占める割合が大きいため、コートの印象でその人の印象が決まってしまうということがあります。

ファッションに合わせて、何着か素材違いのコートを持っていると良いかもしれませんね。

ユニクロのウルトラライトダウンのような、手軽な防寒アイテムを1枚持っておくと便利です。

寒いときにコートのインナーとして着ると、薄手のコートでも暖かく過ごせますよ。