ビジネスコートは薄手でも暖かい理由を理解してオシャレに!

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薄手でも暖かいコートの秘密

暖かいアウターといえば、モコモコのダウンが圧倒的なのは否定できません。

また、ピーコートやダッフルコートに使われるメルトン地は、厚手の生地です。

しかし、寒い季節のコートが、全てモコモコだったり厚手の生地だったりするわけではありません。

薄手のコートの中にも、しっかりと防寒の役割を果たすものがあります。

ビジネスコートは、冬の冷たい風からビジネスマンたちを守ってくれる薄手のコートです。

カジュアルな冬のコーディネートに登場する、モッズコートも薄手のコートの代表の1つです。

では、それらの薄手のコートは、どうして冷たい風の中でも暖かさを保っていられるのでしょうか。

その秘密は、風を遮る布地や形状と、身体とコートの間に作られる空気の層にあります。

ビジネスコートの生地には、風を通さない工夫が施されています。

モッズコートは、風を通さない工夫の上に、肌の露出を減らすための構造を持っています。

そして、どちらのコートにも、空気の層を作るための補助的な内張り、ライナーが用意されています。

暖かいインナーの決め手は空気の層

コートの中には、人体という熱源があります。

ここで発生した熱を外に逃さなければ、コートの中は徐々に温まっていきます。

しかし、コートの外は冷え切った空気に接しています。

生地を伝って、熱は少しずつ外気との間で交換されてしまいます。

この、熱の交換を遮断する方法は、間に空気の層を作ることです。

空気は熱の伝導率が低いため、優秀な断熱材になるのです。

2枚のガラスの間に空気の層を持つペアガラスが、代表的な断熱ガラスであるのと同じ原理です。

空気の層が厚ければ厚いほど、層の内側と外側は効率的に分断され、高い保温性が示されます。

薄手のコートに対して保温のための空気の層を作るのは、ライナーの役目です。

暖かい素材の代表であるダウンは、この空気の層が圧倒的に厚くなっています。

一方、この高い保温性を発揮するためには、断熱のために空気の入れ替えを抑えるような、密度の高い外皮が必要です。

この外皮の役を果たすのが、コートの生地ということになります。

薄手でも暖かいビジネスコートの生地には、空気の流れを遮断するための仕掛けがあります。

ビジネスコートは薄手なのに暖かい

冬のビジネスマンは、コンクリートの間をすり抜ける寒風と向き合わなければなりません。

ところが、彼らが着ているビジネスコートは、頼りないほどに薄手のものばかりです。

見た目は寒そうですが、寒い冬を戦うビジネスコートの表地には、断熱のために空気を通さない工夫が施してあります。

そして、保温のための空気の層を作り出すライナーがあるため、見た目以上に暖かさを保っています。

ライナーは、季節をまたがって利用できるように、着脱のできるものが多くなっています。

逆に、熱をこもらせないためのスプリングコートの多くは、ライナーどころか裏地すら持ちません。

もっとも、コートの中に空気の層をつくる役は、ライナーだけに任せる必要はありません。

サイズに余裕のあるコートならば、コートの中に保温性の高いインナーを着込めば良いのです。

空気の保有量の多い毛足の長い繊維でつくられた素材ならば、保温性も高く、厳寒時のインナーの優等生になります。

冬のビジネス用途には、ウールのジャケットが暖かい空気の層を作ります。

しかしながら、せっかく立派な保温層を作っても、外皮を通して熱を逃してしまっては元も子もありません。

そこで役立つのが、ビジネスコートの生地に仕込まれた、断熱機能を持つボンディング加工です。

ボンディング加工は風からコートを守る魔法

冬を乗り切るビジネスコートの生地には、ボンディングと言われる加工が施されているものがあります。

ボンディング加工というのは、生地と生地を接着剤で張り合わせる加工です。

この貼り合わせによるメリットは、大きく2つに分けられます。

ひとつは、接着剤で繊維の隙間を埋めるため、風通しを遮断し断熱性を高める効果です。

もうひとつは、裏に芯地を貼ることで型崩れを防ぐという効果です。

暖かいコートに欲しいのは、このひとつめの効果です。

風を通さないことで、コートの中で暖められた空気が保持され続け、薄手なのに暖かいコートにすることができます。

ボンディング加工が施されたビジネスコートは、パリッとしていて見た目にもきちんとした印象を作ってくれます。

また、通さないのは風だけでなく、雨が染み込むのも防いでくれるので、アウターとしての評価も上がるところです。

ただし、ボンディング加工にも弱点があります。

それは、表地と裏地の劣化度合いを吸収できないことと、接着剤自体に寿命があるということです。

ボンディング加工に使われる接着剤には、ポリウレタン樹脂が多く使われています。

このポリウレタンという石油系の樹脂は、ゴムのような伸縮性があって使い勝手が良い反面、寿命は3年から5年と短いのです。

綿やウール等の天然繊維同士を張り合わせる事自体には問題はないのですが、問題は生地の間に接着剤の層を持たせた場合です。

購入から数年経つと、寿命を迎えたポリウレタン樹脂の縮みは、張り合わせた表地から剥がれた部分に出始めます。

場合によっては、樹脂が溶け出して繊維が黒ずんでしまうこともあります。

風からコートを守る、強力な魔法のようなボンディング加工ですが、この魔法には持続時間があるということなのです。

魔法の持続時間は3年から5年と割り切って、流行に合わせて買い替えるのが良いでしょう。

長年愛用するつもりのコートなら、ボンディング加工の施されていないものを選ぶようにしましょう。

薄手なのに暖かいモッズコート

モッズコートも、薄手なのに暖かいとされるコートの代表のひとつです。

そもそもモッズコートとは、アメリカの陸軍が極寒地での活動のために開発した、1951年型のモデル、M-51という軍用のパーカです。

モッズコートの生地は平織りのコットンナイロンの混紡でしかなく、それ自体が暖かいものではありません。

モッズコートの防寒性の秘密は、露出部分を減らす、その形状にあります。

モッズコートと呼ばれていますが、本来はフィールドジャケットの上に羽織るためのフードを持ったパーカーです。

そして、いたる所に空気の出入りを防ぐためのドローコードが付けられているのが、特徴のひとつです。

モッズコードの特徴のひとつ、フードにもまたドローコードが設定されています。

オリジナルのM-51では、フードのドローコードは、絞ることで鼻から下が塞がるように、少し高めにセットされています。

後発のものでは、その高さまでハイネックになったものも多く見かけます。

ドローコードが設定されている特徴的なもう一つの場所は、両足に向かって割れたフィッシュテールの裾です。

両裾のドローコードを絞ることで、ふくらはぎまで袋状に覆うことができます。

モッズコートには、アタッチメントとしてウールパイル地の防寒ライナーと獣毛でトリミングされた防寒フードも用意されています。

モッズコートの特徴的な形状の狙いは、徹底的な外気との接触からの遮断です。

外気との接触を遮断した上で、2つの防寒用アタッチメントによって、暖かいコートが完成します。

薄手のコートを補うインナーダウン

風を通さなくても、空気層を持たないと暖かいコートにはなりません。

薄手のコートの多くは、ライナーで空気の層を作ります。

ライナーの特徴は、アウターのシルエットを崩すことなく、保温性を上げることです。

ライナーは、もともとはミリタリーアイテムにおいて、軍用のコートやジャケットのインナーとして開発されました。

フライトジャケットの中に着込んで、上空の厳寒の中でもパイロットを体温の低下から守りました。

その後、活動性や利便性の上で固定されるようになっていきました。

ビジネスコートも、モッズコートも、その例外ではありません。

コートの裏には、ライナーを固定するためのボタンがセットされ、状況に合わせて脱着ができるようになっています。

この、取り外しができることを利用して、単独でインナーとしても使用できるデザインのものも多くなっています。

その流れからか、最近では、コートやジャケットとのセットではなく、単独使用のインナーとして売り出されるものも増えています。

その代表とも言えるのが、インナーダウンでしょう。

インナーダウンは、アウターを邪魔しない薄さを実現しながら、中綿としてダウンを使用したものです。

ダウンには羽軸が存在することより、繊維の量に対して空気の層が厚く作られます。

この空気の層が、優れた保温性を発揮します。

ライナーを持たないコートや、セットのライナーでは物足りない時には、インナーダウンの出番です。

袖付きのものも、袖なしのものも出回っていますので、季節やアウターの余裕に合わせて使い分けることができます。

防寒と保温の仕組みを理解してコートもオシャレに!

薄手のコートでも、風を通さない仕組みとライナーで空気を通さないことで、暖かく過ごせることがお分かりいただけたと思います。

接着剤の劣化を意識することができれば、防寒のための生地の工夫であるボンディング加工は、とても有効な加工方法です。

ライナーが物足りなければ、インナーダウンという手も使えます。

2つの工夫を理解して、薄手のコートでオシャレを楽しみましょう。