ビジネスに限らず、休みの日でも、毎日のようにシャツを愛用している男性は多いと思います。
何気なく着ているシャツですが、ワンランク上のおしゃれを楽しみたい方には、高級なシャツを着ることをおすすめします。
高級なシャツブランドが作るものは、デザイン性はもちろん、耐久性もにも優れているので長く着ることができ、初期投資は掛かりますがそれほど高い買い物ではありません。
今回は、高級なシャツの見分け方と、おすすめのシャツブランドをご紹介します。
高級シャツは何が違う?
高級なシャツとはどんなものを言うのでしょうか。
有名なブランドが作ったものや高い価格のものを高級と思っている方もいるかもしれません。
しかし、本来の高級シャツとは、生地や仕立てが違うのです。
下着を着なくても良いくらい、なめらかで肌触りの良いシャツは、高級コットンなど素材にこだわり、丁寧に織られた生地が使われています。
また、全体にバランス良く整えられ、身体に馴染むよう細部にまで行き届いた仕立ては、熟練の職人たちが手間を惜しまず作り上げたものです。
特に生地に関しては、織りや光沢などシャツの見た目も左右するので重要なポイントになります。
柔らかくしっとりとしていて、自然な光沢があり、毛羽立ちが少なく、耐久性のある生地が、高級な良い生地の条件です。
そして、コットン100%であることも、良い生地の条件として外せません。
細い糸を使って織り上げられた生地は、より柔らかく光沢が美しいのですが、糸を細くすることやその糸を織り上げるには、大変高度な技術が必要です。
また、細い糸で織り上げた生地は耐久性に欠けると一般的に言われています。
高級なシャツブランドはそれぞれ独自の高い技術で、柔らかく光沢がありながらも、耐久性の高い生地を生み出しているのです。
高級なシャツブランドを見分ける仕立て
高級シャツブランドには、それぞれデザイナーがいて、そのブランドならではのシャツを作っています。
きちんと仕立てられたシャツのポイントを見ていきましょう。
【襟】
襟には、「レギュラーカラー」や「ホリゾンタルカラー」などの種類があり、TPOによっても襟の形は変わってきます。
しかし、どんな形の襟であっても、しっかりと立っていて、洗濯を繰り返しても型崩れしないものが高級だと言われています。
これを見分けるには、襟の内側の仕立てが「上向きにカーブしているか」をチェックしてください。
上向きにカーブしていると、着たときに襟が自然と立ちます。
また、襟に接着芯が使われることがありますが、高級シャツブランドでは着心地を良くするために、首に直接あたらないようにする工夫がされています。
【前立て】
襟元の第一ボタンから下に向かって伸びる前立ては、パリッとした襟を保つための大切な要素です。
細かいことではありますが、縫製と前立てが真っすぐで平行になっているかどうかをチェックしましょう。
また、前立てにも芯が入っていると襟がきれいに決まるので、そこもチェックすると良いでしょう。
【スプリットヨーク】
ヨークとは、背中の首から肩周りの部分を言います。
通常、ヨークは1枚の生地で仕立てられることが多いのですが、「スプリットヨーク」は2枚の生地を使って仕立てられます。
効率のため1枚で仕立てられることの多いヨークですが、1枚ですと生地が背中の曲線に馴染みません。
しかし、2枚の生地を肩の曲線に合わせて斜めに切り替えすことで、体に馴染み動きやすく、着心地の良いシャツになるのです。
また、この2枚の生地が、中心線から左右対称で柄もぴたりと合うように仕立てられたシャツが高級なシャツと言えるでしょう。
その他の高級なシャツブランドを見分けるチェックポイント
前項でご紹介した他にも、高級なシャツブランドを見分けるポイントがあります。
【縫製】
1インチ内の縫い目も高級シャツの証になります。
一般的な縫い目は、1インチ内に14~20針とされていますが、高級シャツの場合は24針以上が目安となります。
縫い目が多いということは、耐久性が増し、ほつれにくいというメリットがありますが、裁縫の手間が掛かり、きれいな直線を縫うための技術が必要になります。
このように縫い目を見るだけで、細かい部分でも手を抜かない、ブランドの信頼性をチェックすることができます。
また、内側に「折伏せ縫い」が施されているかどうかも重要です。
腕や脇など肌が触れやすい部分の縫い目を縫い代で伏せて、ミシンをかけるという縫製の仕方で、縫い目が隠れることで肌へのストレスが減り、縫い目の強度も高まります。
【ボタン】
近頃ではプラスチックのボタンが増えてきましたが、高級なシャツのボタンには貝が多く使われています。
天然素材である貝のボタンは希少性が高く、独特の光沢があり、プラスチックに比べると衝撃には弱いのですが、アイロンなどの熱に強いという特徴があります。
また、前立ての一番下のボタンホールは、ひとつだけ横に作られていることがあります。
これは、「ここが最後」という目印でもありますし、ボタンホールを横にすることで、お腹周りに少しの余裕を持たせる意味があります。
高級なシャツブランドと言えばイタリア
それでは、高級なシャツブランドをご紹介しましょう。
まずは、イタリアのシャツブランドですが、ブランドの数が多く紹介するのに迷うほどです。
そのなかでもおすすめのブランドを見ていきましょう。
【BORRIELLO(ボリエッロ)】
高級シャツの代名詞とも言われるボリエッロは、1980年ナポリで創業されました。
ナポリ仕立てのシャツが人気で、創業から30年以上、ベテランの職人たちが生地を選び、裁断から縫製まで一貫して行うスタイルは変わりません。
上質なドレスシャツは世界中で愛されていますし、麻やデニム素材で作られたカジュアルシャツも人気です。
大人のスマートカジュアルにぴったりのドレスシャツは、スーツに合わせても、細身のボトムスと合わせてもきれいに決まります。
【Fray(フライ)】
1962年創業の老舗シャツブランド「フライ」は、ボローニャで生まれました。
フライの特徴は、高級ブランドはハンドメイドのものが多いなか、マシンメイドにこだわり、緻密で繊細なシャツを作り上げていることです。
縫製に対する真摯な姿勢は、手縫いを凌駕するとまで言われるほどです。
フライの精巧なミシン縫いで作られたシャツは「最高峰のドレスシャツ」と称され、そのスマートなデザインで人気を集めています。
さらにイタリアの高級シャツブランドをご紹介
【Barba(バルバ)】
バルバもナポリで1964年に創業された、老舗シャツブランドです。
創業当時から行われていたハンドメイドの技術に、1990年代にパターン・カッティングの技術を加えることで、バルバは飛躍的な発展を遂げます。
素材から縫製までを見直し、工場のオペレーションなども新しく組み直しました。
そこで生まれたシャツは、アームホールを細くすることで、スマートな美しいシルエットを実現しています。
細身でありながら動きやすく、びっくりするほどやわらかい仕上がりのシャツは着心地抜群です。
【LUIGI BORRELLI(ルイジボレッリ)】
1957年、ナポリで近所の人のシャツを仕立てたことがきっかけで生まれた「ルイジボッレリ」は、量産体制になった今でも、創業当時そのままに重要な工程は手作業で行われています。
手作業の部分が多いことから生まれる着心地の良さは、他のブランドにはまねのできないものでしょう。
熟練の職人達が仕立てたシャツは、「着る芸術品」とまで言わしめる高級シャツとして知られています。
イタリア以外の高級シャツブランド
最後にイタリア以外の高級なシャツブランドをご紹介しましょう。
【Turnbull&Asser (ターンブルアンドアッサー)】
1885年にロンドンで創業された老舗ブランド「ターンブルアンドアッサー」は、イギリス王室御用達の高級ブランドとして知られています。
シンプルなホワイトシャツをはじめ、カラーシャツの品揃えも豊富で、その洗練されたデザインは、紳士の国イギリスならではの雰囲気を醸し出しています。
また、ターンブルアンドアッサーのシャツは、ある映画の主人公が着用したことでも有名で、同じタイプのシャツは今でも愛好家の間で高い人気があります。
【Frank&Eileen(フランクアンドアイリーン)】
カリフォルニアで、2009年に創業された「フランクアンドアイリーン」は、アメリカブランドらしい、ゆったりとしたシルエットが特徴です。
創業者の祖父母がアイルランド出身で、ふたりが愛用していたシャツを再現することがきっかけになり、作られたブランドです。
上質で柔らかいコットンで作られた着心地の良いシャツは、Tシャツの上にさり気なく羽織っても良いでしょう。
洗練されたデザインは、大人のカジュアルスタイルを上品にまとめてくれます。
高級なシャツブランドには理由がある
ご紹介してきたように、高級なシャツブランドにはそれぞれに独自のスタイルがあります。
糸や織りにこだわり、縫製に手間をかけ、着心地を追求し続ける姿勢は、どのブランドにも共通しているように思います。
高級な素材を手間暇かけてシャツに仕上げるため、価格は高くなりますが、一度この着心地の良さを試してみてください。