日差しが暑いシーズン、爽やかで涼し気なオシャレを楽しみたい季節です。
涼し気な青のジャケットに挑戦したいところですが、意外にも青はコーディネートが難しい色でもあります。
うまい組み合わせができずに、着ないままでシーズンを終えてしまうこともしばしば。
青の着こなしでは、色の配置が重要になってきます。
ネイビーから水色まで、広い選択肢の中から爽やかな着こなしを見つけてみましょう。
ジャケットに使われる青の素材
ビジネス向けのジャケットの青系統の中で、最も多いのはネイビーです。
スッキリした輪郭を作り出すネイビーは、シャープに見せながらも落ち着きを感じさせます。
逆に、水色のジャケットは涼し気でありながらも、輪郭を曖昧にすることによって温和なイメージを与えるものです。
このように、同じ青系統でも明暗や混じる色によって印象が変わるため、その着こなしにも合う合わないが出てきます。
色の見え方は、繊維そのものの色だけでなく、光の当たり方や生地の織り方によっても変わってきます。
色の三属性である、色相、彩度、明度の差によって、同じ色でも表情が違うのです。
青の爽やかさを活かす、素材についてまとめてみます。
・オックスフォード
経糸と緯糸を2本ずつ引き揃えて平織りにした、斜子織りの生地です。
しなやかな手触りと通気性の良さが特徴の柔らかな光沢を持った生地で、爽やかな印象を生み出します。
・リネン
亜麻糸で織られた薄手の生地で、コットンの2倍、ウールの4倍の強度を持っていることも魅力ですが、シワになりやすいという面も持っています。
吸水と速乾性に優れており、涼感のある夏物素材として人気があります。
・シアサッカー
もとはインドで作られた亜麻布のことを原産地の地名からシアサッカーと呼んでいましたが、現在ではコットンで作られることが多いです。
しじら織とも呼ばれ、表面が波状の素材は肌との接地面を減らし、さらりとした肌触りでカジュアルウェアやパジャマとしても使われます。
・ツイル
綾織りとも呼ばれる斜めの畝を持つ織り方で、シワになりにくい生地です。
手触りの良さから、綿のツイル生地はコットンパンツやジャケットに使われることが多いのですが、細い糸で織られたツイルは光沢があり、フォーマルな洋服やドレスなどにも使われます。
・デニム
綾織りのツイル素材の一種で、インディゴで染めた経糸を使っているため、縦に繊維の筋が出るのが特徴です。
中白の状態で染めた経糸を使っていることで、使い込むことで出てくる色抜けが味わいとして愛されています。
・ダンガリー
元はデニムとは逆に、晒し糸の経糸に色糸の緯糸使って綾織りにしたもので、横向きに筋が入るのが特徴の薄手の生地です。
色糸の経糸に晒し糸の緯糸を用いた平織のシャンブレーも、同じ風合いの生地で、最近ではこちらのほうが主体となってきています。
・ヘリンボーン
「にしんの骨」という名前を持った綾織りの一種で、隣り合う縞の綾目の方向を左上がりと右上がりの交互にして、ジグザグの模様を出した生地です。
織柄の特徴から、品格を損なわずにカジュアルを取り込める柄として、ジャケットの生地として好まれています。
・ジャガード織り
幾何学的に柄を組み合わせた織り方で、色違いを組み合わせることで様々な表情を作ることができる手法です。
・ギンガム
染糸と晒糸を使って織られた格子柄の平織で、たて縞のものはストライプギンガムといいます。
青の染色には、明度の低いネイビーに代表される濃い色合いのものから、明度が高く彩度の低いライトブルーやスカイブルーなどがあり、どれも親しみのある色として幅広い世代から愛されています。
青のジャケットが与える印象
青の色が与える印象は、知的でクール、上品といったものです。
大胆な組み合わせの着こなしでなければ、誠実な印象や清潔感も与えることができます。
青が与える印象の最も大きな要素は、やはり明度です。
明度の低い青の定番は、ネイビーです。
ネイビーは、青が持つ知的でクールな印象に、高級感や落ち着きといった要素を加えることで、ビジネスウェアの定番色の一つになっています。
低い明度の代表の黒では出せない、上品さや華やかさも持っていますので、世代を選ばずに好感を得ることができるでしょう。
また、ネイビーを使ったアウターはシルエットの輪郭をクッキリさせる効果もあり、スマートで誠実な印象も強くなります。
それだけに、ネイビーのアウターだけだと硬苦しさを強調してしまう場合があるのです。
カジュアルを取り入れるには、エンブレムやボタンなどで装飾を加えたり、ボトムスにチェックを配置するなどの方法があります。
明度の高い青の定番には、ライトブルーやスカイブルーがあります。
ザックリした織り味を出してくれる、オックスフォードやツイル地のジャケットは、誠実なイメージを崩さずに軽快な感じを相手に与えてくれるでしょう。
リネンやシアサッカーといった肌感覚のサラリとした生地は、見てる側にも軽やかな気持ちを誘います。
青の明度は、カジュアルの度合いを調整するバロメーターと思っても良いのではないでしょうか。
真面目で誠実であることをアピールするには明度を落とし、軽やかで発想が自由であることをアピールするには明度を上げます。
デニムやダンガリーには、硬苦しさは合いません。
作業服のために生まれたデニム地には、活動的であることを想像させる歴史があります。
そのため、デニム地のジャケットにはカジュアル性の強いデザインのものが多く、ビジネス向けの選択は簡単ではありません。
ネイビーとモノトーンで作る着こなし
色の明度を変えることで印象を変える青ですが、その中でも着こなしの自由度が高いのは、ネイビーです。
ネイビージャケットを想定して組み合わせる色について、できあがる印象をご紹介しましょう。
最初にご紹介するのは、彩度を持たないモノトーンとの組み合わせです。
モノトーンは、それ自体に主張を持たないため、組み合わせる彩色が作る印象を加減するのに向いています。
その中でも誠実で落ち着きのあるネイビーとの組み合わせは、シンプルでありながらもオシャレな印象を作り出せるのです。
ネイビーのジャケットに黒のボトムスを合わせるのは、ネイビーの持つ印象を崩さない基本の組み合わせになります。
この組み合わせには、合わせるインナーが個性を発揮しますよ。
●白のインナー
清潔感が増し、誠実で裏切らない印象ができあがります。
●グレーのインナー
コーディネートに落ち着きを加え、考える人をイメージさせます。
●ギンガムチェックのインナー
硬苦しさを取り除き、可愛らしささえ加える力があります。
ここに黒のボトムスを組み合わせれば、白や赤のソックスがポイントとして映えてきますよ。
ネイビージャケットにグレーのボトムスを合わせるなら、シャープさが影を潜め、印象は少し軽くなります。
相手に構える必要のないことを伝えるには、相応しいコーディネートといえますね。
インナーには、軽い色相のものが合うでしょう。
白で誠実に装うも良し、ピンクや薄いイエロー、もちろん薄青のダンガリーシャツなども合わせやすい色です。
白のボトムスは、華やいだ印象を作ります。
せっかく華やいだ組み合わせを選ぶなら、インナーは少し遊んでみましょう。
薄めの色を合わせても、ギンガムチェックなどの柄を配置しても良いですね。
ボウタイを合わせると、より一層の華やぎを添えることができます。
ボトムスに色を取り入れて作る着こなし
ボトムスに色彩を入れるなら、同系色の青やカーキが破綻しない組み合わせがおすすめです。
同じ青系統で合わせる着こなしでは、トップスとボトムスの間に明度の差を付けます。
上下に色の差が無いと繋がって見えてしまうため、シャープだったはずの青が、逆にのっぺりした印象になってしまいます。
ただ、ネイビーのトップスに明るいブルーはなかなか合わせにくいもの。
その場合には、ボトムスにチェックなどの柄を配する手もあります。
ボトムスにカーキを合わせると少しだけ軽やかさが抑えられ、その分落ち着きが増します。
インナーにチェック柄を取り入れても、それほどはしゃいだ感じにはならないのが強みです。
シューズは、黒からタンカラーのアースカラーがマッチします。
ジャケットが明るい青なら、印象は一気に軽くなりますね。
組み合わせる色も、その明るさを活かした色を選択できます。
ボトムスの選択は黒でも白でも良いでしょうし、素材感が同じブルージーンズもよくマッチします。
インナーにも、白などの淡色だけでなく、赤や青といった彩度の強い色も嫌いません。
シューズにも、軽快感に合わせてスニーカーを選択するのが良いでしょう。
ビジネス向けの青の着こなし
青は知的でクール、そして誠実な色。
明度の低いネイビーは、更に落ち着きと上品さを付け加えます。
ビジネス向けの着こなしには、落ち着いたネイビーの選択が無難です。
ビジネスシーンでは、スーツの着用が常識的です。
同じ生地で揃えることができるジャケットとボトムスの統一感は、相手に信頼感を与えます。
ただ、アクセントの無い生地で作ってしまうと、全体がのっぺりして精悍な感じは失われてしまいます。
その単調感を薄めるには、ヘリンボーンやツイードといった織柄を持つ生地が効果を発揮しますよ。
オシャレアピールをするなら、縦ストライプやチェック柄を選ぶと、一気にポップな印象に変わります。
ただ、ビジネスシーンに使うには程度をほどほどにしないと、せっかくの青の効果を台無しにしてしまうこともあります。
スーツとまではいかないまでも、上下同じ色のセットアップでも統一感を作り出すことができますよ。
上下でほんの少し明度を変えたり、サイズを変えて意識的にYラインやAラインを作り出すことで、派手にならないオシャレを楽しむことができます。
青のジャケットに白インナーを仕込む
青には、知的、清潔、上品といったイメージがあります。
明度の低いネイビーには、更に誠実や落ち着きが加わります。
ネイビーが作る印象を最大限効果的に伝えるのが、白のインナーです。
ワイシャツにネクタイの組み合わせは、ビジネスシーンでは信頼を得られる形です。
ネクタイの着用が必要ないのであれば、オックスフォードのボタンダウンも、ネイビーとのメリハリがキレイに出ます。
カジュアルユースには、スカイブルーのジャケットで軽快感を出してみましょう。
スカイブルーの爽やかさを最も効果的に伝えられるのも、やはり白のインナーです。
定番のクルーネックのカットソーなら、爽やかさと誠実さを一度に表現してくれます。
少しセクシーを足したいならVネックやUネックで、胸元の肌を少しだけ見せるのも良いでしょう。
スカイブルーに白のインナーの組み合わせは、夏の風を感じます。
ネックレスなどの小物や、白のデッキシューズなどが、よく似合いますよ。
青のジャケットには白のインナーを組み合わせる着こなしが、おすすめです。
誠実の青は爽やかな青
ビジネスシーンでは誠実な青も、カジュアルシーンに持ち込まれると爽やかな青になります。
青は、その上に知的でクールで上品な色で、老若男女問わず全ての人から好かれる色です。
そこに魅力を付け足していくのは、色相、彩度、明度の色の三属性の力です。
三属性を使いこなして青のコーディネートをマスターすれば、夏の着こなしが楽しくなります。