春や秋のはじめのころなど、肌寒い時期の着こなしにはアウターが欠かせません。
アウターは、屋外では身に付け、室内では脱ぐという性質の衣類ですので、常時着ているものではありません。
そのため、アウターを脱いだ後のインナーの色やデザインなども事前に考えておく必要があります。
アウターは、意外と着こなしに悩むことの多いアイテムなのではないでしょうか。
ここでは、色の組み合わせのルールとその効果を解説しながら、アウターとインナーの上手な色選びについてご紹介します。
色が人に与える印象とは?
たかが色、と軽く考えがちですが、その色が人に与える影響とは実は意外に大きなものなのです。
例えば、濃い色と薄い色を並べてみたとき、それぞれどのような印象を受けるでしょうか。
濃い色からは、はっきりとした強さを感じます。
薄い色は、穏やかなイメージを醸し出します。
色は濃い薄い以外にも、暖色、寒色など、温かみや冷たさを感じさせるものもあります。
国や宗教によっても、色から連想するイメージは異なることでしょう。
私たちが身に付ける衣服には、必ず何かしらの色がついています。
アウターやインナーにどのような色を選ぶのか、色をどのように組み合わせるのかなどによって、人に伝わる印象が大きく変わるということがよく分かります。
衣服の上手な色選びは、自分が伝えたいイメージを相手に届ける手段にもなりうるのです。
色の組み合わせルールを知ろう!
色にはさまざまなイメージがあること、そしてアウターやインナーの色を上手に選ぶことで自分の伝えたいイメージを相手に届けることができる、ということが分かりました。
では、具体的に、どこにどのような色を配置するのが正解なのでしょうか。
実は、「正解」という言葉を使いましたが、はっきりいってしまえば、色の組み合わせに正解などというものはないのでしょう。
好きな色を好きなだけ身に付けてもそれは個人の自由であり、間違いであるとはいえないのです。
ただ、それぞれの色が持つ特徴を十分に生かし引き立てあう組み合わせにするためには、3種類くらいの色の組み合わせで考えるとより考えやすいようです。
ベースカラー、アソートカラー、そしてアクセントカラー、この組み合わせで考えるとわかり易いです。
最も広い面積を占めるコートやジャケットなどのアウターにはベースカラーを使います。
アソートカラーはパンツやスカートなどのボトム、ブラウスなどのインナー、靴などに持ってくることで、ベースを引き立たせる役割を果たします。
アクセントカラーは、ベースカラーの対極にある色味を使うと良いです。
スカーフ、ストール、ネクタイなどの小物に取り入れると、全体にメリハリを持たせる効果があります。
ベースカラー:アソートカラー:アクセントカラー=7:2:1のバランスで考えると良いでしょう。
アウターとインナー、色はそろえるべき?
色の組み合わせを把握したところで、実際にアウターとインナーの色の組み合わせを考えてみましょう。
このとき、アウターとインナーの色を同色にすべきか異なる色にすべきか、実に迷う部分です。
使う色にもよりますが、表現したいイメージに合わせて強弱をはっきりつけたい場合はアウターと対極に来る色をインナーに使うと効果的です。
特にビジネスの場、交渉の場などで取り入れたい配色がこれに当たります。
一方、穏やかなイメージ、あまり目立たないおとなしめなイメージを目指すのであれば、同系色を濃淡で組み合わせても良いでしょう。
上手に濃淡を組み合わせると、雰囲気のある素敵なイメージを演出できます。
アウターとインナー、色をそろえる場合でも異なる色を組み合わせる場合でも、使う色は全体で3~4種類ほどにとどめておくとまとまりが良くなります。
あれもこれもと色が増えすぎるとまとまりがなくなり、伝えたいイメージを表現することが難しくなりがちです。
アウターとインナー、きちんとした印象に仕上げる色合わせ例
例えば、学生の制服、就職活動に使うリクルートスーツなどを想像したとき、どのような色の組み合わせをイメージしますか。
多くの方は、黒や紺、グレーに白、というイメージをお持ちかと思います。
これらの色の組み合わせから受ける印象は、清潔感、真面目、冷静、地味などではないでしょうか。
制服もスーツも、ジャケットやパンツ、スカートなど広い面積を占めるベースカラーに黒、紺、グレーなどの落ち着きのある色を使っています。
インナーにはその対極にある白を使うことで、非常にメリハリのある配色になっています。
アウターの色が引き立ち、黒や紺などが持つきちんとした、落ち着いたイメージを表現しています。
制服やスーツ以外の衣服にも、この効果は使えます。
ベースカラーの印象をより強く伝えたい場合、より明度の高い白系をインナーに取り入れてみましょう。
色にメリハリが生まれ、知的できちんとした印象のコーデに仕上がります。
淡い色を選んで、柔らかで親しみやすい印象に!
メリハリのある配色は、ベースカラーの印象をうまく表現する組み合わせです。
一方、同色や淡い色の組み合わせは、どちらかといえば主張の少ない、柔らかな印象を作るのが得意です。
リラックスしたいとき、柔らかなイメージを表現したいときなどには、同系色や淡色を組み合わせてみましょう。
レディーススーツの配色で例を挙げてみます。
アウターに紺のジャケット、インナーに白ブラウスの組み合わせの場合、非常にきりっとした知的な印象です。
一方、アウターに淡いグレーのジャケット、インナーに白のカットソーの場合の印象はどうでしょう。
非常に柔らかな、さわやかなイメージを持たれるのではないでしょうか。
インナーに使用する色が同じ白でも、アウターの色味を淡いものにすることで、全体の印象ががらりと変わってきます。
シーンに合わせて色選びをすることがいかに効果的なことなのかが分かります。
アウターを脱いだ後もおしゃれ!インナーとボトムの色合わせ
アウターを脱いでインナーとボトムだけになったら、何だかパッとしない。
そんなことにならないためにも、インナーの色をうまく選びたいものです。
黒アウターと白インナーのようにメリハリのある色の組み合わせの場合は、アウターとボトムスを同じ系統の色にするとなじみやすいでしょう。
または、色味のあるボトムを使っても、非常におしゃれな印象に仕上がります。
特に黒アウターは合わせるボトムを選びませんので、ひとつ持っておくと便利なアイテムです。
また、引き締め効果を狙うのであれば、インナーとボトムの色をシャープな色でそろえるのもおすすめです。
インナーとボトムに黒や紺などの引き締め効果のある色を使い、アウターはやや明るめな色にすると、着やせ効果が高まります。
また、アウターには引き締めカラーを、インナーとボトムには淡い色を使うのも印象的です。
アウター着用時にはきりっと、アウターを脱ぐと柔らかな印象へとガラッと変わります。
例えば、仕事帰りに食事やデートなどの私用がある場合などにおすすめのコーデです。
色の効果を最大限に生かすコーデを楽しもう!
アウターとインナーの色の組み合わせについて、さまざまな例をご紹介しました。
アウターとインナーを対比させるときりっとした印象、淡い色や近い色でそろえると柔らかな表情と、色ひとつでずいぶん印象が変わることが分かりました。
色使いのちょっとしたポイントを知っておくことで、自分をより魅力的に表現することが可能になります。
お手持ちのアウターやインナーで、いろいろなイメージを生み出すコーデを研究してみてください。