手持ちのシャツでコーディネートを考えると、裾の長さが長すぎたり短すぎたりで収まりが悪いことがあります。
実は、シャツの裾には着方に合わせた形状の違いがあります。
シャツは、買ってから組み合わせを考えるのではなく、購入時に着方を考えて形状と長さを決めることがポイントです。
それだけで、オシャレは思ったようにキマり出します。
シャツの長さの基準
ワイシャツのサイズは、「首周り」と「裄丈(ゆきたけ)」で表記されます。
首周りは、喉ぼとけの下あたりを測ります。
シャツの1番上のボタンを留めた時、指2本分くらいの隙間が開くくらいが目安とされています。
裄丈は、背中側の首の中心から袖口(手首の骨が突出したところ)までの長さです。
サイズ表記では、この2つを組み合わせて「39-82」とか、「41-86」というように表記されます。
その他にも、肩幅や身幅など、体型に合わせるために必要なサイズがありますが、肝心のシャツの長さが見当たりません。
これは、ワイシャツは裾をボトムスの中に入れて着る、タックインが基本だからです。
カジュアルシャツになると、裾を出して着るタックアウトも普通になってきます。
そうなると、シャツの長さが重要です。
シャツの長さは「着丈(きたけ)」として表記されるようになります。
着丈として表記されているのは、背中側の長さ、後ろ着丈です。
後ろ着丈は、襟の付け根から裾までを測ります。
裾の形で着丈の長さも変わる!裾と着丈の関係
シャツの裾の形には、脇が上がったラウンドテイル(Uボトム)と、水平に切られたスクエアテイル(Lボトム)があります。
ラウンドテイルは裾入れ用として作られた形状で、屈んでも背中が出ないように後ろ着丈が長めに仕上がっています。
特に海外ブランドのものやフォーマル用のものは、長めに作られているものが多くなっており、そのままで裾を出して着るとお尻が完全に包まれてしまいダボダボな印象です。
最近では、柄物などのカジュアルシーン向けのものは短めに調整されるようになっており、ラウンドが緩く、袖丈と同じくらいの長さのものが増えてきました。
対するスクエアテイルは、裾出し用のカットということになります。
もとは作業をするためのワークシャツとしてのデザインで、シャツ自体がラフな印象を持つものに多く採用されています。
着丈は袖丈と同じくらいになり、その形状からボックスと呼ばれることもあります。
シャツの裾!入れるべきか出すべきか
裾をボトムスの中に入れるべきか、それとも出すべきかは、その時の状況によります。
フォーマルな場では着用するシャツがラウンドテイルになりますので、裾入れが当然になります。
逆に、活動的に作業をする場合には、裾を気にする必要のないスクエアテイルで裾出しという選択になるでしょう。
問題は、フォーマルな場面や作業をする場面でもないカジュアルシーンの時です。
自分が真面目でルールからはみ出さない人間であると主張するならば、フォーマル寄りの裾入れが良いでしょう。
逆に、自分が枠にとらわれない人間であることや、今日だけは枠を意識したくないと思った日には、裾出しにします。
結果的に、良識をわきまえた大人ほど裾入れの選択が増え、枠を嫌った世代ほど裾出しを好む傾向が生まれるのです。
また、シャツの出し入れにはアウターの存在も影響してきます。
ジャケットの下のシャツを裾出しで着ると、ジャケット無しの時よりもはみ出し感は増しますので、全体のバランスを考えることも必要になります。
ただ、裾を入れるか入れないかは今日をどんな1日にしたいのか、その時々の感性で選択すれば良いでしょう。
その感性は、その日の場面に合わせて選んだシャツの形状に任せることにしてもOKです。
これだと思って選んだシャツがラウンドテイルであれば裾入れで、スクエアテイルなら裾出しでというように決めてしまうのです。
ただ、裾の長さが短いラウンドテイルならば、タックアウトにしても問題は無いでしょう。
ラウンドの緩いラウンドテイルなら、シャツの生地や柄もカジュアルに寄っているものが多いでしょうから、ラフなコーディネートにも違和感を感じないと思います。
ジャケットを着ている時は裾入れで、ジャケットを脱いだら裾出しにと、調整できるという強みもあります。
裾出しのシャツ!長さによって変わる印象に注意しよう
シャツの裾を出して着ることを、「タックアウト」と言うことがあります。
これは、裾を入れることを「タックイン(押し込む)」と言うことへの対義語として作られた造語のようです。
とはいえ、イメージが湧きやすい言葉なので、この言葉を使って説明を進めます。
タックアウトにコーディネートするシャツは、基本的にスクエアテイルです。
裾が作るラインは横一直線になりますので、このラインをどこに置くかというのが長さを決めるポイントになります。
シャツをショート丈に抑え、ラインを上目に置くと、軽快感が増します。
ベルトが見えるか見えないかの長さにすると、少し腕を上げただけでお腹が露出しチラ見せの効果を狙うこともできます。
肌の露出を避けるなら、タンクトップなどのインナーに重ねると印象を壊しません。
挑発的な印象になりますので、落ち着いたお付き合いの場には不似合いな装いです。
スタイリッシュに纏めるなら、お尻が少し出る程度のミドル丈で合わせます。
トップスとボトムスの切り替えラインを持ち上げるため、脚を長く見せる効果にもつながります。
ただし、お尻が半分以上出るほどまで裾を上げてしまうと、お尻の存在感が増して野暮ったくなってしまいますので気を付けましょう。
ジャケットの中に着ても、ミドル丈であれば落ち着きを失いませんし、セーターの裾から覗かせてもオシャレなポイントとして活きます。
次に、お尻が隠れてしまうほどのロング丈ですが、スマートさを失って野暮ったくなりがちです。
ウエスト部分に絞り込みを持たないカジュアルなシャツでは、ルーズ感が幼稚園のスモックを連想させてしまうこともあるのです。
ロング丈のシャツをタックアウトで着るには、太いベルトやベストなどでウエストにアクセントを持たせて下半身との結合を解くなどの工夫が必要になってきます。
ラウンドテイルをタックアウトで着る場合には、ロング丈の合わせ方になります。
スクエアテイルのシャツよりもYシルエットが作りやすくなりますが、王子ファッションになってしまうので、大人のメンズコーデには難しいところです。
ラウンドの緩やかな短めの裄丈のラウンドテイルなら、ミドル丈の使い方もできます。
お尻が隠れる程度の長さでも、脇の上がりでは身体を捻った際にベルトが見えるくらいの長さになります。
この脇の上がり部分をインナーの色で埋めることで、コーディネートにアクセントを持たせることが可能です。
裾入れのシャツ!長さは十分なものを選ぼう
シャツの裾を入れて着る「タックイン」の基本は、ラウンドテイルということになります。
メンズの場合には、裾はボトムスの中に入ってしまうので、長い分には気にしなくて構いません。
気を付けたいのは、動き回った後に脇が上がってしまってインナーが顔を覗かせているような状態の場合です。
こうなると、「ラフ」ではなくて単なる「衣服の乱れ」になってしまいますので注意しましょう。
タックインの際には、十分の長さの裄丈のシャツをお薦めします。
ただ、ヒップラインをキレイに出したい女性にとって長い裾は邪魔になることもありますので、合わせるパンツとの相談になります。
スクエアテイルのシャツは構造的にタックインには向きませんが、お気に入りがスクエアテイルでしか見つからないこともありますよね。
その場合には、できるだけ裄丈の長いものを選び、試着をして着衣の乱れない動きの範囲を確認されることをお薦めします。
股上の深いボトムスを合わせることでも、許容範囲を広げることができます。
タックインでチェックしたいポイントは、ベルト下の体型が出てしまうことです。
スマートに締まった下腹部はタックインでアピールしたいところですが、ぽっこりお腹は動作が緩慢な印象を与えてしまいます。
体型によってはタックアウトを極めることが、その人のファッションの幅を広げることにもつながるでしょう。
裾の長さをカットしたい!ショップで直せるか確認を
実は、シャツの裾の長さは直しがきくということをご存知でしょうか。
海外ブランドの長過ぎる裾をカットする場合や、自分の身長に合わせてカットするといった場合に有効です。
ラウンドを緩めて、タックアウトにも対応させるといったことも可能になってきます。
料金は、本格的な仕立て屋さんにお願いするよりも、カジュアルな品物を扱っているショップにお願いするほうが安く上がることが多いようです。
気心の知れたショップでミシンを見かけたら、気軽に相談してみてはいかがでしょう。
ミシンをお持ちの方ならば、スクエアテイルのシャツの丈詰めに挑戦してみても良いと思います。
ただし、詰めれるからといって長過ぎるシャツを購入すると、ボタンの位置が思いがけない高さになってしまうこともあります。
身体に当てるだけで分かりますので、購入の前に確認をしておきましょう。
シャツの長さはコーディネートの中で決めよう
ローライズやヒップハングの流行で、若い世代にはタックインの着こなしを避ける風潮がありましたが、今ではそれも薄まりつつあります。
ジャケットなどのアウターとの相性も良いタックインは、コーディネートの幅を広げる選択肢のひとつです。
野暮ったく、そしてだらしなくならないように、シャツの長さを決める際にはコーディネートを想定した試着をしてみることをお薦めします。